第2話
「お疲れ様でした。
壇上から降りた私に駆け寄る小柄な彼女。
桜華学園生徒会副会長。この学園の2年に在籍している。
この私、生徒会長の
何故か初対面から懐かれ、同級生なのに『亜依様』と呼ばれている。おかげで生徒会役員全員、私を『亜依様』と呼ぶ様に為り、あっと言う間に全校生徒に広まった。流石に上級生にまでそう呼ばれると複雑なのよね。
「春菜、大袈裟。生徒会長として終業式の挨拶しただけでしょう。」
にっこり微笑む私はまたお嬢様の皮を被る。
あ…!春菜が赤く為った。うん、今日も麗しの生徒会長に成れてるな。生徒達は終業式の生徒会長の挨拶で、一斉に寮に帰り、帰宅準備に掛かる。
「ほらっ、春菜も寮に帰るんでしょ行きましょう。」
私が手招きすると、嬉しそうに駆け寄る。緩くお下げに編んだ黒髪が跳ねて揺れた。子犬みたいで可愛い。子供っぽく見える春菜だが、実は幼い頃から許嫁がいて昨年こっそり入籍してる。私と春菜だけの秘密だ。
「亜依様、副会長、ごきげんよう。」
「ごきげんよう。皆さん、また2学期にね。」
あちこちから掛けられる声に微笑みながら答える。
『ごきげんよう』は桜華学園内でよく使われる挨拶で、朝から夜迄、学園でも寮でも交わされる挨拶だ。
初めて聞いた時は、背中がムズムズしたんだけど、人間って慣れるもので今では嘘臭い微笑み付きで使いこなしている。
アイツ達がこんな私を見たら、きっと真っ青になって病院に連れて行かれるな。
思わず想像して苦笑いすれば、
「なんですの。」
春菜に怪訝な顔をされた。
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