ドリームファンタジーワールド

@DreamMake

第0話 プロローグ

「お前の望みはなんだ」

「何者になりたいのだ」

「何を成したいのだ」


またこれか


白く、何も無い世界で俺は問われている。


言葉も返せない世界で憂鬱な気分になるが、幾度となく

繰り返された状況に慣れてしまった。

目の前の全身白人間はあぐらをかきながら笑い、また問う。

誰かも知らないが、長年一緒にいると親近感すら湧いてくる。


けれど…

せめて立ってくれ。


親近感はあるけど親友じゃないから!顔も名前も知らない人だから!

なんで毎回笑ってんの怖マジ引くわ。


そう感じるのも束の間、別の声が空から聞こえてくる

目覚めの時間だと


**********


「朝だよあーちゃん!起きて!」

「んん....」


毎朝この掛け声で目が覚める。


「おはよう。ゆい」

「おはようじゃないよ!まったくもう。毎朝起こしに来る私に感謝してよね!」


この活発な女の子は幼馴染の氷崎結花。


マリンブルーのような碧い輝きを放つ瞳に、毛先まできれいな銀髪。

水色の花の髪留めがお気に入りの子がベットに横たわっている俺の上に乗り、頬を膨らませながら話かける。


「みんな下で朝ごはん食べ始めたのに、一人いつも通りおりませんので迎えにきました」

「毎朝すみません。改善する所存です」

「いつ改善しますか」

「いつか」


呆れた様子の彼女がやれやれとベットから降りると俺も体を起こし、着替える準備に入った。


が・・・


「いつまでいるんですか」

「あ!ご、ごめん。別に着替えてるとこを見たいんじゃなくて、体に異常がないかなーって!ちょっとした確認だよ。確認!」


白くきれいな肌が赤くなりながら話している彼女に、関心と申し訳なさを感じた。


「そうか。ごめん。それならじっくり確認してくれ」

「え」


そう答えると上半身のパジャマを脱ぎ、堂々と体を張った。


「嘘よ嘘!冗談なのに!もう!ごめええええええええええええん!」


顔がリンゴのように赤くなり、湯気のようなものを頭からだしながら

目にも止まらぬ速さで下に降りて行った。


何がいけなかったのだろう。


そんなこんなで学校への準備も終わり、下のリビングルームに顔をだした。


「「おはようアリス!」」

「おはよう。アリスちゃん」

「おはよう。咲、舞、優斗、一成。そしてデールおばさん」

「お姉さんと言え」


そこにいたのは孤児院の子供たちと管理人。そして俺の家族だ。


そう。ここは孤児院。俺は5歳の頃に施設に入り、ここの家族になった。


「早く食べちゃいな。遅刻するよ!」

「了解。My Mother」

「お姉さんと言え」


そんないつもの漫才をして、朝食をとった。


「次のニュースです。最近、魔素のゆらぎが激しくモンスターの活発化、気象状況の不安定が続いています。くれぐれも注意しながらの生活を心掛けてください」

「最近の世の中は物騒ね。あんたは一番気を付けなよアリス。よく巻き込まれるんだから」


誠に遺憾です。巻き込まれたくてそうなってるわけではないのに。

そんな心境で食べていたが、まさか今後、この言葉を深くかみしめる事態になるとは思わないだろう。


朝食も終わり、玄関を出ようとした矢先、後ろから声がした


「ちょっと待って!」

「なんだ。ゆい。まだいたのか?」

「女の子には準備に時間が掛かるものなんです!」

「そういうあーちゃんこそ、一人でいこうとした?また猫と遊んだりして遅れるんだから一緒にって言ったでしょ。」

「たしかに。でも一人じゃない。いくぞ。ハムスケ」


そう呼ぶと後ろからちょこちょこと小走りし、俺の肩に乗った一匹のハムスター。

名をハムスケ。相棒兼孤児院代表のマスコットだ。

愛くるしい見た目にふわふわな茶色と白の毛、そして首元についている小さなダイヤがチャームポイントの男の子。


「もう…。まあいいわ。行きましょう。遅れちゃうよ」


そう言って玄関を開けた。

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