放課後のバイト先

雇い主と私。

第1話

金曜日の夜8時。


かりかりかりかり…


ハンパないくらい防音設備の整った部屋。当然窓はない。

私は与えられた空間にあるライティングデスクに座り、ひたすら課題を解いて時間が余れば授業の予習をする。

だって、こんな部屋に入れられて勉強でもしなきゃ時間が潰せないし。

少し閉塞感はあるけど冷暖房完備。

帰って勉強するより環境は良いし、

調べものをするのにパソコンを使う許可も下りている。

第一電気代の節約になるし。

苦学生としては有難いバイト先。

体が固まると、時々床で軽くストレッチをしたりもしてる。


カチャリ。


不意にドアが開いて入ってきたのは、無口で背がやたら高いイケメン。

アシンメトリーの前髪はダークブラウン。夜の灯りの下では黒髪に見える。


「飯。」


いつものように

私に少し冷めたコンビニ弁当とミルクティーを差し出す。


「ありがとうございます。」


私のお礼を聞いてるのか居ないのか


「ん。」


軽く頷きベッドに一直線。

私が背を向けてる間にスエットに着替えベッドに潜り込みがっつり二時間お休みになる。

私はひたすらお弁当を静かに食べ持参した水筒のお茶を飲む。

へ?

ミルクティーはどうするかって?

自分の部屋でゆっくり味わうに決まってるじゃん。

貴重な甘いもの。大切に味わわなくちゃ。

貧乏女子高生に甘いものは貴重なのだ。

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