第33話
─────第78層。
もしかしてだけどさ、このダンジョン、第100層まであるとか言わないよね。
ここまで来るとそうとしか思えないんだけど。
え、普通にやめて欲しい。
『な、なんで私の能力が効かないの……!?』
「え?知らないよ」
ここに来るまでで既にレベルも結構なものになってしまった。これ見せたら絶対にみんな卒倒すると思う。それに既にこのダンジョンに来てからかなりの日数が経っているはず。もしこのダンジョンが時空を歪めてたりして体感時間が引き延ばされていない限りは。
でもこの感じだとそれはあり得なさそう。前に提携している企業が実験と称して時間が引き延ばされた部屋を作り、そこに無理矢理入れさせられたことがある。
その時強烈な吐き気と脱水症状が起きてそれ以降それがトラウマになっている。
でも今回そんなのが一切ない。
ってことはここで過ごしている日数分、現実の世界でも経っているだろう。
少しはそう言った措置がされているだろうけどね。流石にここまで潜ってるとそんなことなんも関係なくなってくる。
……仕事強制退職とかされてないかな。何だか心配になってきた。嫌だなぁ、退職されてたら。あのジジイは嫌いだけど、今の上司はとてもいい人だから、これからもあの人の下で働き続けたい。それに給料いいし。
あ、ジジイのセクハラの証拠、こんなことになるんだったらさっさと平筑さんに渡しておけばよかった。まあでもあの人なら勝手に取ってるだろう。そう期待してます。
取り敢えず今はここを脱出することを念頭に頑張ろう。
因みにだけど、既に私の精神はぶっ壊れてます。
『も、もう私のHPは0なのに何で消滅しないの……!?』
「それはこのエイギスの力だよ?」
エイギスはこの階層に来る前にもういいやと思って連結させた。その際にエイギスは新たに、
【
なお所持者の精神異常性を加味した為、通常とは異なる変化を見せている。その為対象に、不変性、激変性のどちらかを付与することが出来る。】
と言う、なんともよく分からないものに変化した。それにこれの説明から明らかに私を批判しているとしか思えないことも書いてある。元はと言えばこのダンジョンに私を入れた運営が悪いんだけどね。
だから私は早速
これ、なんと驚き彼女も言っていたようにHPが0になっても消滅することなく残り続けることが出来るという優れもの。
その上もう死んでる判定になってるから能力も一切使えなくなってる。
もう分るよね?こうなったらすることは一つ!
『もう、もう殴らない─────グハッ!?』
「ええ!?なんつったぁ!?」
満足するまで殴るのみ!
─────第93層。
『ふん、まさかここまで来る人間がいるとはな─────っ!?』
「あ、避けられた」
幼少期にずっと思ってた。最近はこれもしょうがないのかなって思って考えないようにしてたけど、こうしてみるとやっぱり一回考えたくなる。
─────ヒーローとかが変身するとき、なんで敵は大人しくしてるんだろうって。
だってそうでしょ?せっかくのチャンスを愚かな行動で無くしてしまってるんだからさ。
これについては昔からネット上でいろいろ議論されてきて、
『敵が全員戦闘狂でもない限りあれはあり得ない』
『でもそれが無いとアニメとして成立しないから仕方ないだろ』
『でも昔のアニメとかを見るたびに違和感を感じてしまうからやめて欲しい』
『んで、結論は?』
『無駄』
『あれがあるからこそそのアニメの面白さが引き立つんだろうが!』
結局結論を出そうにもそこでまた二分化して、もう各々の好きなようにすればいいじゃんって感じで終わった。
私は必要ない派。今回のこれはその議論の奴とは違うけど、今こうしてスパナで殴ってるのがその証拠。
『ぐっ、我が話していると言うのに何故攻撃してくる!?』
「さっさと終わらせたいから」
『っ、貴様アアア!!!』
どれほど最初を大事にしたいんだろうこの人は。でもそう言うのは今度聞くから今はさっさと私に殺されてほしいな。
もう
さっさと、叩き潰す。
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