書店 ライブリーブックス
「ライブリーブックス」は、そのショッピングモール二階にある大型書店です。
店頭には新刊の平積み棚があり、熱心な店員の手書きポップに様々なジャンルの本が紹介されています。
書籍に加えて、文具や雑貨のコーナーも有する総合型の店舗です。
あなたは目当ての本を手にとって、レジに向かおうとしたとき、いきなり背後から「すいません」と、声をかけられます。
控えめな声に振り返ると、そこには一人の中年女性がにこやかに立っています。
「読むと気が狂う本を探しているんです」
女性の答えに――あなたは戸惑って、まずはこの店の店員ではないことをやんわりと伝えます。しかしその女性はそれには構うことなく、あなたに向かって同じセリフを繰り返します。
「読むと気が狂う本を探しているんです」
あなたは恐怖を感じ――彼女から離れようと踵を返します。背後からは彼女が追いかけてくる足音がします。
「読むと気が狂う本を探しています!」
あなたはもはや走って逃げています。後ろの彼女は大声で叫んでいます。
「読むと気が狂う本を探しています!!」
――なんとかレジまで逃げ切って振り向くと、そこにはもう彼女の姿はありません。
あなたはレジに立つ店員に、不審者として彼女のことを報告します。書店の名前が入ったエプロンを着た店員は、事も無げに「ああ、森下さんですね」と、答えます。
迷惑行為の常習犯なのか、と思うあなたに、店員はなんでもないことのように話し続けます。
「一日四回、ああやって誰かに聞くのを四十四日続けると、『読むと気が狂う本』が見つかるらしくて。ああやってお客さんに声かけてるらしいんです。……まぁ、話しかけられても別に、害はないなので大丈夫ですよ」
店員はあなたが購入する本のバーコードを読み取りながら、なおも続けます。
「……まぁ、あの人もう『
――そう言って、平然と、有料のレジ袋が必要かどうかを尋ねてきます。
この書店があるショッピングモールはどこにありますか。
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