23 対決ウルフ戦

■23 対決たいけつウルフせん


 あさ冒険者ぼうけんしゃギルドによっていく。


「エミリーさんいますか?」

「はーい」


 声掛こえかけはわたし

 えていたのでっているけれど、こえける。


「それからドゴーグさん」

「いるぜ」


 こちらもツルッとしたあたまがあったのでお声掛こえがけする。


「あの、じつはおねがいが。今日きょういてますか」

「ん、いいよ」

「おう、もちろんひまだぜ、がはは」


 あたまててニコッとわらうドゴーグさん。

 それをすこいやそうにてから笑顔えがおけてくれるエミリーさんだった。


「あの今日きょうじつはウルフせんをしようかとおもいまして」

「お、なんだやるか?」

「はいっ」


 わたし満面まんめんみでもってこたえる。


「そうか」

けん練習れんしゅうしていますし、魔法まほう使つかえるようになりました」

魔法まほうか、ほう?」

「このまえはコボルトをたおしました」

「そうか、そうか、それで?」


 ドゴーグさんが品定しなさだめするようにこちらをてくる。

 そのかお面白おもしろそうだといてある。


「それでまんいちのためにお二人ふたり引率いんそつをおねがいしたいんです」

「おう、自分じぶんたちだけでってきてんじまったらバカだからな」

「はい」

「いいぜ」

わたしもいいわよ」

「ありがとうございます」

「「「ありがとうございます」」」


 みんなであたまげる。


「まったく、かわいいたちにあたままでげられたら、やるしかないわね。な、ドゴーグ」

「ああ、おれたちにまかせとけ」


 ということで二人ふたりともなってそともりへとかった。


 もりはいってすぐに「エリア・サーチ」でウルフの位置いち確認かくにんする。

 今日きょうもいつものような巡回じゅんかいルートなのか、現在げんざい位置いちよりもうすこ北側きたがわにいるようだ。


きたですね。スライムをシバきながらすすみましょう」

「エリア・サーチね、ふぅん」


 ドゴーグさんが感心かんしんしたふうにこたえる。

 魔法まほうすべてのひと使つかえるわけではない。

 とく自分じぶんしい属性ぞくせいをピンポイントで使つかえたらいいんだけど、そんなのは無理むりなわけだ。

 今度こんど魔力まりょく消費しょうひすくないリソース・サーチをちょくちょく使つかいながらまわりを調しらべる。


「このへんはじめてかな。こっちへ」


 すこきをえてすすむ。

 みんなはすでにわたし能力のうりょくっているのでなにわずについてくる。


「サルノコシカケですね」

「――いいのつけたな。たかれるぜ」

「この、リソース・サーチも使つかえるのよ」

「あぁそれでピンポイントなのか。便利べんりだな」


 たおれた大木たいぼく根本こんぽんおおきなサルノコシカケがえていた。

 協力きょうりょくしてからってバッグにれる。

 これだけで金貨きんか1まいくらいだろうか。


「ぐへへ」

「はやくマジックバッグしいもんね」

「うむ」


 くちからよだれがれてしまいそうだった。

 サエナちゃんにわれてわたしふかくうなずく。


 さてスライムをたおしながらすすんでいく。

 かく回収かいしゅうしていく。今日きょうはすでに十れたのでほくほくである。


「だいぶちかくなってきました、注意ちゅういを」

了解りょうかい

「あぁ」


 そろそろウルフのテリトリーだ。


「ワオオオオオン」

「「ワオオンオ」」

「「ワオオオオン」」


 遠吠とうぼえがこえてくる。

 すでにかこまれているが、こちらもリソース・サーチの探知たんちないなので場所ばしょはわかる。


「がるうぅうう」


 正面しょうめんえながらんでくるウルフがえた。


「――つち人形にんぎょう防御ぼうぎょ


 正面しょうめんわたしつち人形にんぎょう配置はいちたてやくとして使用しようする。

 ウルフはつち人形にんぎょう突撃とつげきして一撃いちげきでバラバラにしてしまう。


「くぅっ。いきますよ」

「――ファイア」

「――ウォーター」

「――ウィンド」

「――ファイア」


 わたしたち子供こどもにん魔法まほう正面しょうめんのウルフに集中しゅうちゅうする。

 ほかのウルフが戦闘せんとう参加さんかしてしまうまえに、たおしてしまおうとはなった作戦さくせんだった。


「きゃぅううん」


 ウルフに魔法まほう次々つぎつぎ命中めいちゅうかなりのダメージをあたえた。

 しかしまだうごけるようで、よろよろしている。


「がるぅううう」


 左側ひだりがわからもあたらしいウルフが攻撃こうげきしてくる。


ひだりまかせてにゃん」


 しょげきでファイアをってもう魔法まほう使つかえないミリアちゃんがてつけんでウルフを牽制けんせいしてくれる。

 けんられ、ウルフにたったりぎりぎりでけられたりと一進一退いっしんいったいだった。


「――ファイア・ボール」


 わたしはファイアよりたまおおきいファイア・ボールを使つかって正面しょうめんのウルフにブチてる。

 これをもろにびたウルフはつつまれてうごかなくなった。


「やった」


「きゃぅうんん」


 これをひだりのウルフ、それから右側みぎがわのまだ様子ようすていたウルフが尻尾しっぽいてげていく。

 どうやら正面しょうめんのウルフが司令塔しれいとうだったようだ。

 リーダーをうしなげることにしたようだった。素早すばや判断はんだんだった。


「エリア・サーチ」


 わたしふたた探知たんち魔法まほう使つかう。

 ウルフのれは東側ひがしがわ移動いどうしたようだ。すでにわたしたちがうのは無理むりそうだった。


「ウルフのれはすでにはなれてますね。大丈夫だいじょうぶです」


 ウルフのきをする。

 ゴブリンやコボルトとことなり、ウルフはあまり流通りゅうつうしていないけどべられる。

 ウサギにくとはことなり、牛肉ぎゅうにくちかあじがする。わたし領主りょうしゅかんべたことがあった。


「おにくだねぇ、おにくにく

今日きょう豪華ごうか

「うん。おにくにゃ」

「ハムじゃないおにく。しかもウサギじゃないだよ」

「そそ」


 サエナちゃんがちょっと興奮こうふん気味ぎみった。

 シリスちゃん、ミリアちゃんとそれにつづく。

 みんなごくりとのどらす。


 とにかくおにくってかえろう。本格的ほんかくてき解体かいたいはギルドか孤児院こじいん厨房ちゅうぼうだ。

 ギルドだと解体かいたい費用ひようられてしまう。


わたしたちいなくても大丈夫だいじょうぶだったわね」

「ああ、そうだな。おじょうちゃんたちはつよいぜ、まったく」


 エミリーさんとドゴーグがあきれていた。

 そうしてこうして孤児院こじいんもどり、厨房ちゅうぼうのおばちゃんにウルフの解体かいたいをしてもらう。


まかせときな!」


 おばちゃんはたくましい。

 夕方ゆうがたウルフは解体かいたいされて立派りっぱ毛皮けがわれた。


「いただきます!!」

「うまうまっ」

にくだよ、にくだよ」

「こんなおにくわたしはじめて」

「うまっ、美味おいしい」


 にくたっぷりシチューがみんなに振舞ふるまわれて大好評だいこうひょうとなった。

 じっくりと煮込にこんだおにくやわらかくなっていてべやすい。

 にく特有とくゆう旨味うまみ子供こどもたちをとりこにするほどだった。


 キノコやイチゴをったり、おにくになる魔物まものたおしてみんなでべる日々ひび

 わたしたちの冒険ぼうけん孤児院こじいんスローライフはつづいていく……。

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