4 お洗濯と石鹸

■4 お洗濯せんたく石鹸せっけん


 さてふく茶色ちゃいろいワンピースが3まい寝間着ねまきのセットが各人かくにん2まいずつ。

 しゅう一回いっかい着替きがえて、お洗濯せんたくだ。

 ほか基本きほん予備よびとする。

 もちろんそれ以上いじょうっているひともいるけれど、それは自分じぶんかせいだおかねとかであつめることになる。

 そして、このまえのおにくのように、ほとんどのはおかねをほとんど所有しょゆうしていない。


 自分じぶん洗濯せんたくする午前ごぜん仕事しごと交代こうたいせいになっていて、自分じぶんふくあらうのが仕事しごとになる。

 しゅう一回いっかいなので、今回こんかい二回にかいだ。


「ざ~ぶ、ざぶ。ざ~ぶ、ざぶ」

「あわわ、ざ~ぶざぶ」


 わたしはサエナちゃんとならんで、仲良なかよくお洗濯せんたくをしていた。


 おおきなタライに、井戸いどからみずみ、それをあらうだけだ。

 洗剤せんざいはない。

 水洗みずあらいだけなので、あまりよごれもちないけれど、いまのところしょうがない。


 そうやってみずあらったら、にわにある物干ものほしにけて乾燥かんそうさせる。

 ひとりずつ竿さお使つかけて、どれがだれのかからなくならないように注意ちゅういしてすのだ。


 みんなたようなしろいパンツに茶色ちゃいろふくなので、うっかりしているとちがふくわりそうだった。

 そうおもっていたが、一応いちおうみんなふくすみ刺繍ししゅうをして名前なまえれていた。えらい。

 わたしのはまだそういうふうになっていないので、名無ななしだった。


 よくれて、ところどころにしろくもながれていて、とてもいい天気てんきだ。


「ふぅ、お洗濯せんたくわり~」

わったね」


 さあ、またホワイトそう採取さいしゅしにこう。

 おかうえ草原そうげんあるまわってる。

 りょういっぱいに採取さいしゅしたらもどってきた。

 いつものように部屋へやかべにホワイトそうしてわり。


「そうだ。石鹸せっけんつくろう!」

「お、おう」


 わたしのテンションにたじたじのサエナちゃんもれてく。

 厨房ちゅうぼうった。


「すみません、料理りょうりのおばさん」

「なんだね?」

てるあぶらとかありますか?」

てるあぶらかい? ないことはないけど、なに使つかうんだい?」

あつめてかためると、石鹸せっけんになるんです」

「そうなのかい、へぇ、ほらこっちのつぼだよ」

「ありがとうございます」


 無事ぶじ油壺あぶらつぼをゲットした。

 ただあまりおおきくなくてりょうすくなめだ。


「すみません、あとはいとかあります?」

はいなら、ほらそっちにいっぱいあるよ」

「ありがとうございます」


 たしかに料理りょうりようのカマがあって、はいよこててある。


「あ、あの、それから、しおすこしほしいんですけど」

しおかい? でも石鹸せっけんつくってくれるんだっけ? 出来でき石鹸せっけんけてくれるなら、しおわたしてもいいかな?」

「あ、はい。石鹸せっけんはおけします。というか孤児院こじいん使つかうつもりなんです」

「まあそうだろうね、わかったよ。しお使つかっていいよ」

「わあ、ありがとうございます」


 厨房ちゅうぼうのおばさんがやさしいひとかった。


 なべ一番いちばんふるいもう使つかっていないというのをレンタルして、はいあぶらとを煮詰につめていく。

 そうしてできたドロドロの石鹸せっけんもどきにしおれる。

 このしおとなりのメンデルシア侯爵こうしゃくりょう特産とくさんで、海水かいすいからつくられている。

 ただ精製せいせいあまいので塩化えんかナトリウムだけでなくて、にがりてきなものもかなりふくまれているのだ。

 たぶん、この石鹸せっけんつくるのにはいているとおもう。

 これで「塩析えんせき」というのができるはずなんだ。ほんんだもん。らんけど。


 地球ちきゅう世界せかいでは本当ほんとうならこれくらいではちゃんとかたまらないとかあるみたいだけど、ビバ、ファンタジー世界せかい適当てきとうでもうまくいきそうだった。


 わたしとサエナちゃんでよくてみる。

 さて石鹸せっけんはとりあえずこれでわりだ。あとはつだけだ。


 おひるはんべて、午後ごご農作業のうさぎょうをして、ゆうはんべて、かるからだいたらる。


「さっぱりしたぁ」

「ね~」


 あついお使つかったタオルが支給しきゅうされるのは、この洗濯せんたくまっているのだ。


 ひさしぶりにふくからだ綺麗きれいになって、ぐっすりねむった。


 翌朝よくあさ

 あさ仕事しごとをして、石鹸せっけん様子ようすてみる。


「おおぉ、かたまってる!」

「ちゃんとできたね、すごい!」


 なべには石鹸せっけんができていた。

 それを包丁ほうちょう四角しかくす。


「おばさん、はい! 石鹸せっけんです」

本当ほんとう石鹸せっけんみたいだねぇ」

「みたいじゃなくて、ちゃんと石鹸せっけんのはずです! はいどうぞ」

「ありがとう」


 こうして厨房ちゅうぼうには石鹸せっけん完備かんびされた。

 それからわたしたちは昨日きのう洗濯せんたく使つかえなかったけど、今日きょうには石鹸せっけん使つかかたかる説明せつめいして、わたしてみた。

 石鹸せっけんをプレゼンしてプレゼントなんちって。


石鹸せっけん、ありがとう~」


 さっそく使つかってみる。


「わぁすごい、あわるね。なんだかみず茶色ちゃいろくなってきたから、よごれがちてるんだよ、すごいね」

「そうだよね!」


 石鹸せっけん洗濯せんたくでも威力いりょく発揮はっきして、今度こんどから使つかうことができるようになった。


 ったりたりしたが、また厨房ちゅうぼうへ。


「あの、おばさん」

「なんだい?」

今度こんどから、脂身あぶらみとかでてちゃうところをあつめていて、たまになべて、あぶらあつめていてくれませんか? 油壺あぶらつぼだけだと石鹸せっけんとかすぐなくなっちゃいそうで」

「んん? そうだね。いいよ。石鹸せっけんはいいもんだからね。石鹸せっけんのためならそれくらい、おやす御用ごようだよ」

「ありがとう~」


 いま実験的じっけんてきつくったけど、廃油はいゆとかすこししかなかった。

 それにこのあぶら基本的きほんてきにランプに使つかうみたいだから、りょうができなかったのだ。

 たくさんつくるためには、脂身あぶらみなどから必要ひつようがあった。

 おばちゃんがやってくれるようなので、定期的ていきてき石鹸せっけんにしよう。


 こうしてまたひとつ、生活せいかつがよくなったがする!

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