[総ルビ]異世界転生して貴族だったけど孤児院に捨てられた私は這い上がる ~女の子だって薬草、キノコ、苺とか採取してスローライフしよう~(web版)

滝川 海老郎

1 孤児院へ追放

■タイトル

異世界いせかい転生てんせいして貴族きぞくだったけど孤児院こじいんてられたわたしがる

おんなだって薬草やくそう、キノコ、いちごとか採取さいしゅしてスローライフしよう~(webばん)


■通常版

https://kakuyomu.jp/works/16817330652210434716


■あらすじ

領主りょうしゅ一家いっか貴族きぞくだったわたし異端いたんとして孤児院こじいんれられてしまう。しかしそこはおんな楽園らくえんだった。まわりにはひろにわからもりまでつづいていた。そうだここで採取さいしゅとかしてスローライフしてごそう。ついでに生活せいかつ改善かいぜんしていこう。おんなたちはがる。

まずは裏庭うらにわ薬草やくそうつづいてうらもりからキノコ、いちご一角いっかくウサギ、スライムのかくなどを採取さいしゅしてくる。そうしているうちに院長いんちょう先生せんせいから冒険者ぼうけんしゃをやってみないかとさそわれる。冒険者ぼうけんしゃギルドへもり探索たんさくなどをすすめ、なつミカンなどあらたなべモノをゲットし、魔法まほうおぼえ、ついにウルフをるまでになるのだった。おんなだってたくましい。冒険ぼうけんはまだまだつづく。


■1 孤児院こじいん追放ついほう


 トエリーナ・フォン・エストリア。

 それがわたし名前なまえだったものだ。


 わたし物心ものごころついたときには前世ぜんせ記憶きおくがあった。

 地球ちきゅう世界せかい女子高生じょしこうせい

 それが転生てんせいしてエストリア伯爵はくしゃくの4にんじょになった。

 わたしはもうすぐ8さいになる。


 いままで基本的きほんてききもメイドさんに懇願こんがんしておしえてもらった。

 ほんんだけれどそればかりだとよくないので、意識いしきして運動うんどうもしていた。

 適当てきとうおもさのものをって、ダンベルみたいにしたり。

 にわ散歩さんぽとか、ダッシュしてみたりして、からだきたえた。

 ちなみに一応いちおう鑑定かんてい基本きほんよん属性ぞくせい魔法まほう、アイテムボックスは使つかえないこともない。もちろん秘密ひみつだ。

 あぁ、魔法まほう練習れんしゅうはばれてしまった。


 転生てんせい知識ちしき知能ちのう調子ちょうしをこいてぺらぺらしゃべったり上記じょうきのような活動かつどうをしていたので「神童しんどう」とてはやされるはずが、そんなこともなくうらではむしろ「悪魔あくまき」として気味悪きみわるがられていた。



 さらに際立きわだったのがわたし容姿ようしだ。

 父上ちちうえ血筋ちすじあおかみあお母上ははうえ水色みずいろかみあお自分じぶん以外いがい子供こどもたちも、みんな青系統あおけいとういろをしていた。


 しかしわたしはピンクかみ水色みずいろだったのだ。

 このかみはどこからたのか。そもそも屋敷やしきなかひと一通ひととおても、ほかにピンクのなんて皆無かいむだった。それで余計よけい気味悪きみわるがられた。


 一家いっかしょくことわり、はなしがあるという。


「トエリーナ、8さい誕生たんじょうになるまえに、孤児院こじいんはいりなさい。そこで生活せいかつするのだ」

「え、父上ちちうえ

おや指示しじにはしたがいなさい。いいかな?」

「はい、父上ちちうえ

「よろしい。よくはげむように」


 父上ちちうえ、エドワード・フォン・エストリアは不機嫌ふきげんそうにったのだった。


 この世界せかいには異世界いせかい転生てんせいしてくるというひとほかにいないらしい。

 のけものにされて領主りょうしゅかんから追放ついほうされた。


 囚人しゅうじんのごとく馬車ばしゃせられたわたしは、いのメイドとともまちなか移動いどうする。


 孤児院こじいんりょうエストリアの領主りょうしゅかんとはべつ小高こだかおかうえにあった。

 となりには女子じょし修道院しゅうどういんがあり、その付属ふぞくだ。


 孤児院こじいんでは院長いんちょう先生せんせいっていた。

 メイドは馬車ばしゃとともにもどってって、わたしひとりだけがのこされた。

 このメイドのとは多少たしょうなりとも仲良なかよくしていたので、ちょっぴりさびしい。


「ようこそ、クエシニコ修道院しゅうどういんおよび孤児院こじいんへ。トエリーナさまですね。わたくしは修道院しゅうどういんちょうけん孤児院こじいんちょうつとめております、サファエともうします」

「あ、わたしはトエリーナ・フォン・エストリアです。よろしくおねがいします」

「いいですか。ここではいまからあなたさまはトエです。ほかひとには領主りょうしゅさまのご令嬢れいじょうとは秘密ひみつにしなければなりません」

かりました。わたしはただのトエですね。修道院しゅうどういんちょうさま

かしこのようですね。安心あんしんしました。では、案内あんないします」


 孤児院こじいん女子じょし修道院しゅうどういん付属ふぞくだから、こちらにはおんなしかいなかった。

 4さいから15さい全部ぜんぶで15にん前後ぜんごだろうか。


 そうして、わたしはただのトエとばれることになるのだった。


 孤児院こじいんおんなたちは、みんなまずしい服装ふくそうをしていてせていた。

 ふとっているはひとりもいない。

 年長ねんちょうなかには、おっぱいがおおきくなりつつあるもいたのだけれど、それでもつつましやかだった。

 院長いんちょう先生せんせいをはじめとする女子じょし修道院しゅうどういんらす女性じょせい信者しんじゃひとたちも、みんなおなかんじでほそかった。


 領主りょうしゅかん不自由ふじゆうなく贅沢ぜいたくらしをしていたわたしは、いまからの生活せいかつ不安ふあんかんじていた。


 前世ぜんせ記憶きおくたよりに、なんとか生活せいかつ改善かいぜんしたり、おかねかせぎをしなければならないだろう。

 わたし内心ないしん、ぐっと決意けついをした。


 顔合かおあわせはわり、はじめての夕食ゆうしょくになった。

 ならべられたものはパンにスープにサラダだ。


かみスエルメティスさまのご加護かごにより、本日ほんじつ食事しょくじをいただけることに感謝かんしゃして」

「「――セドーレ」」


 いのりの挨拶あいさつだった。

 ならべられたつくえ椅子いす末席まっせきすわり、みんなの視線しせんをじろじろかんじながら、わたし真似まねをした。

 領主りょうしゅかんでも、季節きせつのおいわいごととかで、おな挨拶あいさつをしたことがある。

 ここでは毎日まいにちいのりをするのかもしれない。


 おおきなにくとかはないけれど、スープはだくさんでこれが主菜しゅさいなのだろう。

 干肉ほしにく欠片かけらすこはいっている。薄味うすあじのスープのなかでは、干肉ほしにくのその塩加減しおかげんがちょっとだけいめで美味おいしい。

 質素しっそではあるけれど、極貧ごくひんとまではいかないようだ。

 ただパンのレベルは領主りょうしゅかんくらべたらくろくてかたくてぼそぼそしていた。このパンはスープにひたしてべるようだった。


「んふぅ、トエちゃんだっけ?」

「ん? そうだよ」

わたしはサエナ。よろしくね」

「う、うんよろしく、おねがいします。えへへ」


 となり可愛かわいおんなこえけてきた。

 わたしおなじ8さいぐらいだろうか。かみ金髪きんぱつみどり。まだちいさいけれどかなりの美少女びしょうじょだった。将来性しょうらいせいたかい。

 ぐへへ。わたしはこうえても、おんなにはがない。

 屋敷やしきでもメイドに色目いろめ使つかっていた。そんなことが気味悪きみわるがられる一因いちいんではあったのだけど、前世ぜんせ影響えいきょうか、なんとなくおんなきだった。

 これは性癖せいへきなので、どうしようもない。


 サエナちゃんのあたまでて、うっとりする。

 彼女かのじょ気持きもちよさそうに、ほそめた。


 まず一人目ひとりめだ。だんだん仲良なかよくなっていこう。

 ただ、羽目はめはずしすぎないように。慎重しんちょうに。

 外堀そとぼりからすこしずつめていくのだ。

 前世ぜんせ領主りょうしゅについては、秘密ひみつということで。


 最初さいしょ領主りょうしゅかんからすわ追放ついほうだとおもっていたけれど、よくかんがえたらおんなばかりの楽園らくえんでは。

 ここは百合ゆりハーレムをきず素晴すばらしい場所ばしょ天国てんごく一番いちばんちか場所ばしょでは。

 わたし前向まえむきにかんがえることにする。

 ただし、貧乏びんぼうなのは間違まちがいなさそうなので、なんとかしよう。


 二段にだんベッドの寝室しんしつ案内あんないされた。

 ひとりひとつ、ちゃんとベッドはあるらしい。

 ただしひろめの部屋へやにベッドが4かしょ8まれている。

 わたし雑魚寝ざこねとか、おなじベッドにはいっていちゃいちゃしても全然ぜんぜんかまわないけどね、ぐへへ。

 さて、わたし妄想もうそうれられるわけもなく、普通ふつうにベッドでよるましたとさ。

 わたしうえはサエナちゃんだった。席順せきじゅんとベッドと部屋へや順番じゅんばんおなじようになっているそうだ。


「おやすみ、サエナちゃん」

「おやすみ、トエちゃん」


 いまはる。とてもごしやすいよるでありました。

 あさになって、一日いちにちうごす。


「おはよう、サエナちゃん」

「おはよう、トエちゃん」


 うむ、朝一番あさいちばんから美少女びしょうじょながめられて、わたしはうれしい。

 あさはサエナちゃんについてあるいて水汲みずくみなど各々おのおの仕事しごとをしたら、朝食ちょうしょくになった。


 昨晩さくばんおなじようなパンにスープにサラダだ。


 わたし孤児院こじいんでの生活せいかつはじまるのだった。

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