第三章 8話


 

 遠かった。

 それは近いようで遠い夢だった。

 人生を語るうえで外せない存在。

 私と出会わなければ、あなたはきっと幸せだった。でもあなたと出会わなければ私は幸せになれなかったんだよ。

「……琥珀」

 その声は届かない。

「え、いいの。私でよければ今日も一緒に食べたいっ」

「……」

 ああ、そっか。

 私に向けられていない言葉に、どこか嬉しい自分がいた。

 そうだよね。これが本来あるべき姿なんだ。

 小さなため息が私の存在を象徴する。

 

 幸せを押し付けてごめんね。


 でも、幸せになってね。

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