第2話




2

 子供たちの今後の行き先がすべて決まったので、しばらくの期間、それぞれの星についての勉強が始まりました。各自、自分で研究を重ね、目的の筋道をいくつか計画していきます。もちろん、すべては目的達成のためですが、もう一つ大きな目標が全員に課せられております。


 それは、降り立った星での自分という意識が、光であること。


 ただそれだけですが、そのことを忘れたままだと、星に降り立った後、目的に向かうことができません。


 フサコは、まだ見ぬ地球のことを思い描いては、興奮して、どきどきしていました。地球に関しての情報が極端に少なく、山じいから借りた本も、たった二冊だけでした。


 その二冊の本の内容は、ひとつは植物の本。もうひとつは四季という季節についての本でした。本当は、パンの本を借りたかったフサコでしたが、あいにく山じいは持っておらず、他の大人から貸し出してもらう約束となっているそうです。


 フサコは、植物の本を読んで、「よもぎ」というものに、とても心ひかれ、スケッチを繰り返しました。それを、山じいのところへ持っていくと、山じいは大変喜んでくれたので、彼女はそれを山じいにプレゼントしました。


 また、ある時は、季節の本を読んでいました。


 その本には、雪の降っている小さな家の写真がありました。フサコは雪のその美しさに感激して、毎日毎日そのページだけを見つめ続けては、心躍らせていました。


 そして、フサコは、山じいに質問してみました。


「この雪って、どうして光っているの?」


山じいは、少し困った顔です。けれど、丁寧にフサコに答えました。


「みんなの心に残る季節となるように、雪は光っているのかもしれないね」


二人は顔を見合わせて、どちらともなく、笑顔になったのでした。








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る