第13話 おいしいね


「…寝るか。」


ステーキを食べ終わった後、作った椅子に横たわる。


「待て、洗い物はどうする。」


「零がやって。」


「「レンがやれ」」


クッソこいつら…


「はぁ…んじゃ、お前ら先に寝てろ、ベットは一つテスターが使ってるからな。」


「「はーい!」」


「お姉ちゃん一緒に寝よー!」


「ふふっ、良いよ。」


「…仲良いな。」


…夜空が綺麗だ、この世界に来てから初めて落ち着ける。


ブオオオオオ


「…寒っ」


砂漠とはいえ、夜は冷える、そこらへんにあった木を焚火に入れる。


「焚火あったけー…月が二つあるんだな。」


月に衛生?のような星が居る。


「…なかなか様になってるじゃん。」


…火と夜空を一緒に見ていると、何故か心が落ち着く。


「…ずっとこのままがいいなあ。」


◇◆◇


数時間眺めていると、家から零が出てきた。


「ん?どうした?」


「いやあ、なかなか寝れなくてねぇ、そっちも…寝れないのか?」


「…なかなか楽しいぞ、これ。」


「…ほんと?」


「ほんとほんと」


「「………」」


月を見ながら、彼女は鼻歌を歌う


「♪~」


「…何だ?それ。」


「妹がよく歌ってくれてね、私…病気で死にかけたの、でも生き残った。妹が心臓移植してくれてね。」


「…妹さん、優しいな。」


「でしょ。」


「…」


「…ねえ?」


「ん?」


「貴方は生前どんな人だったの?」


「…話さなきゃダメ?」


「…んまあ、大体分かるよ、貴方、Pr2000でしょ?」


「…ふふっ、よく分かったな、そうだよ、Pr2000、正式名称は試作戦術戦闘機械人形自律AI搭載型。」


「長げえよ、正式名称まで言わんで良いよ。」


「ふふ、長いでしょ。」


「自慢しないでよろしい。」


「…前世では人を殺してばっかだった、まあ今でもちょっと癖が消えないけど。」


「大丈夫?私殺されない?」


「大丈夫大丈夫、…多分。」


「おい後半。」


「あはは…でも、大事な人は殺したくない!」


「…そうだな。」


「…うっ!」


頭が急に痛い、激痛だ。


「どうした!?」


…痛みが治まった…何だったんだ…


「…いや、大丈夫…何だったんだ…」


「…もう寝たら?」


「…そうだな。お前も寝ろよ。」


「…ああ、分かった。」


もう少し夜空を見たかったが…仕方無い。


「…ポイント、どの位溜まったかな~?」


≪研究ポイント:1294≫


「ん~~どれにしよう。」


…考えていても仕方無い、寝よう。


「……寒っ。」


布団を被り、眠る。


◆◇◆


「…ん、もうこんな時間か。」


辺りはもう昼らしい、太陽が真上にある。


「…あれ?皆が居ないな。」


どこを見ても居ない、テーブルを見ると紙が置いてある。


「あいつ…紙なんて作ったのか。」


紙には、ダンジョンに行ってきます。と書いてあった。


「…そこらの魔物でも狩ってくるか。」


お昼が無いので、食えそうな魔物を探すことにした。


「…行ってきます。」


◇◆◇


「こいつ…食えるかな?」


目の前には牛が居た。恐らく魔物だろう。


「にしても…」


だが、普通の牛と違う所があった。


「デカすぎんだろ…」


戦闘機位の大きさだ…だが!その分食べられる部分が多い、と言う事!


「よーし!狩るぞ!」


背中から奇襲を掛ける事にした。


「魔石を狙って…」


魔石は、魔物の心臓みたいなものらしい。つまり、それを壊せば魔物は死ぬ!


「朱雀!」


ブオオオオオ!パリン!


「よし!」


声を出す暇もなく死んだらしい。


「…どうやって運ぼう。」


ここから家まで10kmはある、どうしよう。


「…出来るかな。」


◇◆◇


「…ふう~」


(牛を捌いて小分けにし、家に運ぶ、うん!俺天才!)


残った川や骨も持ってきた。一応何かに使えるかもだし。


「…まだ帰って来ていないのか…」


…暇だな。


◇◆◇


「♪~」


料理をしていると、皆が帰ってきた。


「ただいまー!」


「ん?良い匂い!」


「魔物って食えるの?テスター?」


「ええ、食べれますよ。」


「んじゃ、ちょうど焼けたし、食うか!」


「「わーい!」」


「私は寝てきます、おやすみなさい。」


「テスターはいつも寝てるな…おやすみ。」


「おやすみ~」「おやすみなさい」


「…さて、食べるか!」


◇◆◇


「ふ~美味しかったぁ~」


魔物の肉を食べた後、皆が横たわりながら話す。


「意外と食えるもんだな、魔物。」


「夜は何にする?」


「野菜食べたい!」


「良いねぇ、そこらの食人植物でも食べようか!」


「零も慣れてきたね、異世界。」


「んまあ慣れないとねぇ、そういや、スキルを手に入れたよ。」


「おっ!ステータス見せて!」


「儂も見たーい!」


「良いよ~え~おほん!彩雲零、年齢:秘密」


「秘密かあ…」


「当たり前じゃろ。」


「職業:盗賊、魔力量:なし、称号…魔物を食らう者、効果はスキル、〔捕食〕を習得。多分皆もあると思うよ。」


確かに有った。


「…テスター、職業って?」


「…レン、テスターは寝ておるぞ…」


「ああ!そうだった!」


「職業はどうやら称号と似ているらしい。効果がある。」


「…効果は?」


「分からない…何故か塗りつぶされている…」


「…成程、何かの条件で見えるかもね。」


「…そうだね。」


「おっと!もうこんな時間!ステーキを焼くよ!」


「あっ!そうだ!」


「?」


「これ!ダンジョンで取れたの!」


そう言うとペッパーミルを取り出した。


「これね、調味料を何でも出せるんだって!だから…例えば砂糖とか…塩とか出せるんだって!」


「すごっ」


「しかもね!これ無限に出せるの!」


「…最高」


「でしょ?」


「よし!じゃあそれでステーキ作るぞ!」


「「わーい!」」

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