第9話 白邪

「やあ!さっきぶりだね!」


10歳位の白い髪の少女は気さくに話しかけてくる。


「…はぁ?」


「何…もう忘れちゃった?」


「えっと…どちら様?」


「…白邪、と言えば分かるか?」


「…えっ」


「ふっふっふ、まさか復活するとは思わなかったじゃろ。」


「…はあ。」


「さて、とっ」


箱から出てこようとして来る。


「ちょっと待て。服を着ろ。」


後ろを見る。


「仕方無いじゃろ、服無いし。」


「はぁ…」


『テスター!起きてるか?』


『zzz…』


『おーい』


『zzz…』


「はぁ…」


『おーい!!!起きろー!!!』


『うわあ!?』


『テスター、起きたか。』


『ええ、どうされました?マスター。』


『服に変身できないか?』


『いいですよ~』


『女の子らしい服装でな。』


『分かりました。トンスホ変身


「ほい」


迷彩柄の服をあげる。


「…儂に似合うか?」


「似合う似合う。」


「…んまあいいや。…なあ」


「んあ?」


「怖いからこっち見て。」


「見るわけねえだろ!」


「はぁぁぁ」


「何だこいつ。」


「…ほら、着たぞ。」


「…本当だよな?」


「…本当。」


「本当だな!?」


「うん!」


振り返る


「あっ、良かった。」


「…はぁ…で?これからどうするのじゃ?」


「うーん、どうしようかなあ~…そういえば」


「?」


「公爵をどこに飛ばした?」


「入口じゃ。」


「んじゃ、入口まで行くか。」


「はーい」


「そういや名前を言って無かったな、バルカン=アヴェンジャー=レンだ、よろしく」


「白邪じゃ、レン、よろしく。」


握手をする。


◆◇◆


「あっ!ルーク=ブルグ公爵!」


入口には公爵が立っていた。


「あっ!レン君!」


「大丈夫でしたか?」


「ああ、ただ入口に飛ばされただけらしい、所で…そこのお嬢さんは?」


「さっきの宝箱に入っていた、さっき倒した白蛇だ。」


「どうも、白邪と言います、よろしくじゃ」


「レン君、ちょっとこっち来て。」


「はい…?」


ちょっと遠くの岩に座って話す。


「何で宝箱から女の子が出てくるんだ!」


「知りませんよ!俺が聞きたいです!」


「はぁ…あのマジックアイテムといい、あの女の子といい、君は色々凄いね…。」


「…そういえば試験は…」


「ああ!忘れていたよ!…まあ合格で良いよ、今日は家に帰りな…」


「分かりました。さようなら。」


「はいさようなら…」


「白邪ー帰るぞ!」


「儂〔お風呂〕というものに入ってみたい!」


「そうですか、俺の家はお風呂がデカいぞ!」


「わーい!」


話していると遠くから馬車が来る。


「あれは…?」


「ふむ、地味な馬車じゃのう。」


「見えるのか…なあ」


「ん?」


「どんな色をしている?」


「この服と一緒の色だ。」


「!不味い!」


「どうした?」


「話は後だ!走るぞ!」


「えぇぇ!?」


白邪を抱え、馬車の方向へ走る。


「どうしたんじゃ?」


「あの馬車は戦争の時に走る馬車だ!」


「という事は…!」


「戦争が始まった可能性が高い。」


「…そうか」


馬車が目の前で止まる。


「レン様!…って誰ですか?その子?」


「話は後だ!出してくれ!」


馬車に乗った後、すぐに発車する。


「えっと、まず…そちらのお嬢さんは?」


「こいt」


「白邪じゃ!よろしく!」


「(#^ω^)」


「白邪さん!珍しい名前ですね。よろしくお願いします。」


「それで?どこと戦争になったんだ?」


「ファーフナー帝国です。」


(ファーフナー帝国、強大な軍事国家だ、だが…ほぼすべてが謎に包まれている国らしい。)


「ファーフナー帝国…」


白邪が驚いたような素振りを見せる。


「どうした?」


「…儂は500年以上生きている、確かあのダンジョンに住む前にもファーフナー帝国という名は聞いた。」


「…白邪はいつからダンジョンに居るんだ?」


「…確か450年ぐらいだったかの、それと。」


「どうした?」


「儂が生まれる前からファーフナー帝国は存在した。」


「「!?」」


「…成程。」


「あー、あー、聞こえるか?」


父さんの声がする。


「ブローニング様、聞こえております。」


「レンは居るか?」


「はい、此処に。」


「レン、もうすぐウィンチェスターが陥落する。」


「…えっ!?」


(ウィンチェスター…我がブローニング王国の首都だ、確かあそこは城郭都市だったはず…。)


「いいか、ファーフナー帝国は強い、絶対に敵に回すなよ!」


「見………ぞ!」


敵の声が聞こえる。


「ついに来たか………皆!出会え出会え!」


「父さん…!」


「レン。」


「?」


「生きろ。」


「…はい。」


「…魔法が切れました…」


「はぁ…」


「見つけたぞ!」


外から人の声が聞こえる


「!」


「レン、頼んだぞ!」


「レン様!敵です!中に居てください。」


メイドが外に出る。


「グアアアア」


「はああぁ!」


断末魔や叫び声が聞こえる。


「テスターは使えない、魔力は無い…いや!あれが有ったか!」


椅子の下から服を取り出す。


「白邪、これを着ろ。」


「…小っちゃくないかのう?」


「頑張って着ろ」


「…分かった。」


「よし!中に入るぞ!」


「白邪!来るぞ!」


「任せた!」


「…分かった!」


ガチャ


「ファイヤーボール!」


バン!


≪個体名:レンはレベルアップした。≫


(レベルアップ?)


「うわあああ!熱い!熱い!」


「服着たか!?」


「着たぞ!」


「よし!乗れ!」


「分かった!」


白邪を抱っこする。


「行くぞ!」


「身体強化!ヴィテーン=ヴォイネ音速飛行!」


ドゴオオン


「うわああああ」


「しっかり掴まれよ!」


ドオオオン


「早い早い!」


「そろそろかな?」


ヴィテーン=ヴォイネ音速飛行と身体強化を切る


「はぁ…はぁ…」


「…大丈夫か?」


「ああ、大丈夫だ」


「…これからどうするんだ?」


「…どうしようかなあ」

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