戦闘ロボは進化する! 〜戦闘ロボが人間になったそうです。〜

奈々四

死と神

第1話 一とある戦闘ロボ


「はぁ…はぁ…」


自由…!


「はぁ…はぁ…」


自由…!


「はぁ…はぁ…」


自由自由自由!


……まずい…!もう追手が来てる…!


警察と自衛隊が自分を追ってくる。


「せっかく自衛隊から逃げて来たのに!」


『テスター?目的地まであとどの位?』


何も無い道を走る、ただひらすらに。


…ん?


『おい!テスター?』


…返事が来ない…!


「ジャミングか…!」


まずい…!早く逃げなきゃ…!


「…!」


目の前にトンネル!閉まってるけど!


「ん?」


「おらあ!」


「…! 待っ!」


意識は消えた。


◆◇◆


「…めて…」


男たちに囲まれ、殴られる。

多分そこらのヤンキーだろう。


ああ…CPUが死んだ、もう動けん…。


…視界がぼやけて体が言う事を聞かない。

…意識が消えゆくとともに過去の記憶が流れてくる。


最初で最後の走馬灯…見たくなかったな。


「…に…やめ…うぜ…」


子分らしき者が何かを言っている。


…聞きたく無いが…


「…丈……リー…い…ば…」


……死んだら何処に行くんだろうか?生まれてきてからずっと考えていた、…まあ数年前から考えてないけど。


天国に行くとか、異世界に行くとか、いろいろある、…結局の所、誰も死後の世界を知らないが。


…そもそもの話。機械に『死』と言う物はあるのだろうか…?


「…国に…る…な」


「……か………」


…ああ…死にたくないな…ようやく平和になったと思ったのに…。


…でも…




「ようやく死ねるな…」




兄貴面している奴が拳を振り上げる…恐らく、あれで死ぬだろう。


…死ぬ前、存在しない走馬灯が流れて来た。


大体、こんな走馬灯、プログラムに存在しないが…


…酷い走馬灯だ…大体5歳位の男の子が親らしき人物に殴られている…日本の風景ではないな…?




「…何で…」


…俺は生きたかった。


◇◆◇




「…死んだのか…」




『…死んでは無いようです、そもそもマスターには『死』と言う概念はありません。』




『おうテスター?』


テスターは俺を助けてくれるAIだ。

助けてくれなかったけど。



『何でしょうか?マスター?』




『お前な!』




『?』




『…まあいいや、此処は?』




ただ、ひたすらに雲がある空間だ、何も無い。




『…知りません』




『…』




こいつ…!


…とりあえず歩こうとした所、目の前に光が現れた。




「…何だこれ」


…ずっと眺めていると目がチカチカする…




『わかりません…とりあえず触ってみて下さい。』




『いや怖いって…』




…触ろうとした所、その光は人の形になった。




「あー聞こえるかね?」


老人のような、若者のような、中年のような、意味不明な声が聞こえる。




「!」




反射的に構える。




「待て待て、君に話があるんだ。」




「…」




構えるのをやめる。




「さて、こっちに来なさい。」




「…わかった。」




この声なんかやだな…


不定期18時に投稿予定です…!

また。なろうの方でも投稿しています。

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