第107話

上半身の服は、全てボタンを弾かれた。


悪魔は、露(あら)わになった俺の肌に手を這(は)わせていく。




「ねぇ…」


「………」


「あなたの名前を……教えて」


「………」





それはですね〜、……なんて答えられないんですよね。



いや、そんなに泣きそうな顔しないでください。

というかこの悪魔、最初っから泣いてたわぁぁぁぁ…





ポタリ、ポタリと悪魔の頰を伝い、俺の胸に雫が落ちる。

それを冷たく眺め、軽くため息をついてから再び悪魔に視線を戻した。



と、ため息をついたタイミングで悪魔が肩をびくりと震わせた。




「……おね、がい…。酷いこと言ってるのは、わかってるの」


「………」


「本当は、あなたが帰りたいと思っているのだって…。

……ごめんなさい。……ごめん、なさい…っ」


「………」






………あー、ヤバイ。





めっっっっっっっっっちゃ、可愛い。







なにこれ。頭撫でまわしたい。

というかもうぜんっぜん堕天してもいいわ。

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