第43話

「………ねぇ」


「ん〜?」


「俺に抱かれたのも、どうでもよかったから?」


「そうだよ〜

今更人数増えても変わらないし〜」


「…………へぇ」









ザーザー


ピチャピチャ





雨は好きだ。

だって、みんな早足に帰っていく。


私の世界から、汚いものを全て消してくれる。





私の体も心も、洗い流してくれる。







「…………俺の家、来いよ」


「え〜?なんで〜?」


「…………気まぐれ。

衣食住くらいなら、提供してやるけど?」


「太郎さん、お金持ち〜?」


「別に。…………で?」


「ん〜?」


「俺を利用して進学するか、断ってお前の汚れた道進み続けるか、決めろ」


「え?進学?」


「はい、10秒前ー」


「え?え?」







唐突に始まったカウント。





ずっと無感情に、くだらなそうに、

退屈そうにこちらを見ていた太郎。






彼が、戸惑う私に手を差し伸べ、

微笑んでいた。

















「来いよ。

どこまでも一緒に行ってやる」











fin.

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