第24話

「……俺、さぁ」


男が、突然話を始めた。


最初、私はバーテンダーに話しかけていると思ったが、男の視線が私であることに気づき、視線を合わせた。


男は、そこから口をきつく結び、話を再開しない。



ーーーーコトリ



ふと顔を上げると、バーテンダーが私を見て微笑んだ。そのまま裏に行ってしまう。

空気を読んでのことだろう。



長い沈黙が続く。



「………うん」



話を、聞いてるよ。どうしたの?という意味で、返事をした。


すると、男が、驚いたようにこちらに顔を向けた。


そして、ふっと微笑んだかと思うと、泣きそうな顔になる。



男は、まるで力が抜けてしまったかのように天井を仰ぎ、自嘲気味に笑うと、話を始めた。

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