第22話

今日も、行きつけのバーに足を運ぶ。


仕事も落ち着き、しばらくは通常業務だ。

だから、このゆっくりできる時間は、忙しかった時にためたお金でバーへ通っている。


「……いらっしゃい」


バーテンダーが微笑んで迎え入れてくれた。

それに微笑み返し、私はカウンター席に座った。


「今日は?」


「モスコミュール」


注文したものが届くまでのその間、私は携帯を開きメールや着信の確認をする。


ここのバーはかなり通っている。

それでも、バーテンダーと親しく会話はしたことはない。

ただ、1人で静かにお酒の夜を楽しみ、帰るのだ。


「はいよ。モスコミュール」


私は、その声に少し笑顔を向けて頷いた。

香り、色、味をゆっくり堪能する。



ーーーーーリーンリーンリー……



「……いらっしゃい」


「……あぁ」


今日は珍しく私以外の客が来たらしい。

休日はたくさん来るこのバーは、平日、私以外の人はほとんど来ないのだ。

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