第36話



〜・〜





「ぅ………っ、……っ……」


「あぁ、もう喉、潰れた?

それじゃあ助けなんて呼べないですねぇ…。

…可哀想に」






幸架が、優しく私の首に触れる。




それをフザケルなと睨みつけてやれば、妖艶に、満足げに幸架が嗤う。










何が起こったか、なにが起きているのか、

本気で理解できない。














まず始めに理解できたのは、右足を折られたこと。



次に、逃げようとした時に左足の腱を切られた。さらに抵抗しようとして伸ばした左腕も折られた。




その上痛みに絶叫し続けて喉が潰れた。










そしてさらに今現在進行中の、

さっきまでの優しさなど皆無なこの行為。














痛いなんて優しい言葉ほどの力ではない。



骨が軋み、内臓が潰されるような痛みと、

強すぎる握力で千切られそうな腕や肩の痛み。




さらに、遠慮も気遣いもなく幸架自身に体を貫(つらぬ)かれる。





やめろ、幸架、頼むから聞いてくれ


何度口にしても、パクパクと口が動くだけで、声として響いてはくれない。







何時間経った?

今は何時だ?


わからない。





それに、なぜ幸架がここまで激怒しているかも、わからない。




やっと私から解放されるというのに。

やっと愛する人の元へ行けるようになったというのに。





何故、

どうして…?






何に怒っているんだ?

どうしてこんなことをする?


何が不満だったんだ?









「そういえば…

さっきの答え、聞いてませんね」


「………っ、……、…」


「そこまでして俺から逃げたい理由って、何です?」


「……………っ…、ぅっぁ……」






答えさせようとなんて、思っていないくせに。



しかも避妊していない。

ピルも、開始早々取り上げられ、隠された。




本当に幸架のこの行為の意味がわからない。






というか、ゼロが湊をウルトラスーパーハイパー超超絶鬼畜悪魔ヤロウと罵っていた本当の理由が、今になってわかる。




たぶん、日の角度から推測するに、この行為が始まってから5時間は経過している。



それなのに。














何度限界に達したかわからない自分とは違い、幸架は一度も達していない。
















貫いてくる速度も変わらず、押さえつけて来る強さも変わらず。


それどからか、スピードは上がり、力も強くなっているように思う。




そのうえ、私の意識が遠のいてくれば、幸架は手を抜いてくる。


その手の抜き方も、ギリギリ意識を飛ばないくらいの手加減で。









まさに、拷問だ。











「も………ぅ……、ぁっ…、さっ、……か、」


「まだ余裕ですか?」


「そっ、……な、わ、…けっ…」






"慣らし"では、幸架は一回達しているはずだ。


それなのに、この体力。




あまり間隔をあけて始まったものではないのに。

しかも、5時間ぶっ通し。





たとえこの先幸架が一度達したとして、終わるとは思えない。







かと言って反抗できるものは今近くに何もない。




本格的に、ツんでる。











丸で何も見えていない幸架に、どう言えば正気に戻ってくれるかもわからない。


今ここで出て行くのはやめると言っても、幸架はこの行為をやめるつもりはないだろう。




なぜなら、私は再三の確認を全て否定で返したのだから。







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