第8話
あまりに美しい遺体に、誰も触れることができなかった。
隠れ森の奥地、その場にある桜吹雪と木漏れ日の中、穏やかに微笑み、眠る2人。
1人は漆黒。
1人は純白。
対照的な2人。
眠る男は、長めの漆黒のストレートの髪と、色白の肌。
かなり痩せてはいるが、筋肉質な体。
赤い唇は妖艶で、今は笑みを乗せている。
そして、左耳にはアレキサンドライトのピアス。
足に付けられたプレートには「1234」の数字。
男が来ている薄い服には、
「We're a murderer.」の文字がある。
眠る女は、ゆるりとしたくせ毛の白銀の長髪で、隣で眠る男よりも真っ白な肌。
女性らしい曲線はあるが、かなり痩せていてまるで骨を皮膚で覆っているだけのような体。
まるで血のような唇は、幸せそうに微笑んでいる。
そして、左耳にはピアスホールのみ。
右耳にはブラッドストーンのピアスをしている。
足に付けられたプレートには「0」の数字。
女が来ている薄い服には、
「We're a maverick.」の文字がある。
男の肩に頭を預ける女。
そんな女に、愛おしげに寄り添う男。
2人の手は、硬く握られている。
指を絡めて握られている手は、男の手が下になっていた。
木漏れ日が当たると、2人の肌が光を弾くように輝く。
本当に、ただ幸せな夢を見ながら眠っているだけのような姿で。
2人は、
永遠の眠りについていた。
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