位置について
1.底抜け玉入れ
第3話
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東区桜祭り約1ヶ月前
あぁ、疲れた。
ボスンとベッドに突っ伏す。
体中に香水のキツイ匂いがする。
擦り寄ってくる女たちが、酷い香水の匂いをさせてベタベタ触ってくるのだ。
おかげさまで、毎回吐き気を抑えるのがそろそろ限界にきている。
マジふざけんな。
疲れた体を無理やり起こし、シャワーを浴びに行った。
熱めのシャワーを頭からかぶり、再びため息をつく。
──ガラッ
「…………何で入ってんのわかってるのに来るわけ」
ジト目で後ろを振り向けば、そいつは嫌がる顔を見て喜ぶようにその顔に笑みを浮かべ、近寄ってきた。
服が濡れることなんて気にもせず近寄ってくると、強引に後頭部を押さえつけられ、唇が重なる。
というか、これはきっと"キス"ではなく、"喰われている"という表現の方が正しい。
ようやく離れた時には、息が上がっていた。
少し酸欠気味になったことにイラつき睨むと、さっきよりも満足そうに笑われる。
悪態の5つでもついてやろうと口を開いたところで、壁際に押し付けられ、再び唇が重なった。
抵抗しようと突っぱねた両手も片手で掴まれ、壁に縫い合わせられる。
顔を背けようにも顎はしっかり掴まれているし、足の間にも相手の足がグッと入ってきているため、身動きが取れない。
今日は疲れているというのに。
まったく。
「………誰といたらこうなる」
ようやく唇が離されると、不機嫌そうな声が落ちてくる。
首元に顔を埋めながら、そんな問いかけをされた。
たぶん、香水のことだろう。
笑みはそのままだが、明らかに怒りの色がその瞳に浮かんでいた。
………これは、まずい。
「………別に。いつものことでしょ」
「……………」
つい、と鋭い視線が向けられ、思わず目をそらしてしまった。
あーあ。
これはもう、……ツんだな。
とりあえず1週間はまともな生活ができないだろうことを考えると、頭が痛くなった。
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