「これでよかったの?」



空き教室に夕日が差し込む。


「ねえ、蓮」


彼が振り返る。


「ありがとう、上條」


笑ってる、満足そうに。


「こんなにも上手く行くなんて笑っちゃうな~」


「ほんとあんた怖いわ、自分の彼女追い込むなんて」


「だってさ~、やっぱり誰にも見せたくねーじゃん?ああみえて杏奈のこと狙ってる男子多いんだよ」


「…………………」


「だからさ、ムカついてさ。はは」


「…きも」


「写真1枚で女子ってバカだよなー。本当に予想以上」


蓮は笑いながら楽しそうに話す。

それが異様で、でもどこか綺麗で。



「上條のおかげだわ、これで杏奈は俺だけのもの。他の男の目に映らない」


話を聞いてると気持ち悪くなる。


「ってことでいい仕事してくれたから、これ返すわ。じゃーな」


そう言って彼は空き教室を出ていった。

私をそれを受け取って握りつぶす。


ああ、可哀想。

あんな男に目をつけられて


あの子のこれからが心配だ。


まあ、私には関係ないけど。







あの男はやばい。






『Cyclamen』end

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る