次の日から朝起きられず学校に行けない日々が続いた。


「杏奈、蓮くんきたよ。どうする?部屋通す?」


「………会いたくない」


「…ん、そう。わかった」


母にそう告げ布団に潜る。


こんな姿、蓮に見せたくない。



ガチャ


誰かが部屋に入ってくる気配に


「……蓮帰った?」


と母に聞く。


だけど返事はなくて、不信に思って布団を捲る。


それと同時に布団を剥がされる。


「…ぇ、蓮…?」


そこには蓮の姿。


「…なんで頼ってくんねーの?」


「…………」


「俺、杏奈の彼氏でしょ?」


「…………ごめ」


「…俺何のためにいんの?」


「…………」


「…俺の前で泣いてよ…泣いていいんだよ」


その一言で涙が溢れる。


「…俺は居なくならないから、ずっとそばに居るから」


「……………」


「だから、弱いとこもみせて?」


そう言われて私は蓮の胸に飛び込んだ。

そして小さな子供のように泣いた。


泣いて泣いて、疲れていつの間にか寝ていた。


蓮はずっと抱き締めてくれて

離れずに寄り添ってくれた。


隣に眠る蓮の顔をみて、どこか安心した。


蓮のほっぺを触ると蓮の目が開く。


「…ん?なあに?」


「…ううん」


「…学校…どうしよう」


「…何があったか分かんないけど嫌なら行かなくていいと思う」


「…うん」


「ふふ、俺がいるからいーじゃん」


「…うん」


「行けるようになったら一緒に行こう」


私はその言葉に頷いてまた眠りについた。



1番わかってくれる人がいる事がこんなにも

心強いなんて知らなかった。


私は蓮だけいればそれでいい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る