「…おいしい」


「少しは肩の力を抜いたら?」


「……」


「いつも気張ってるでしょ。少しは昔の泣き虫で寂しがり屋な君を出してもいいんじゃない?」


「……」


「…彼に振られた時、ひとりで生きていけるだろうって言われえすごく悲しかくて辛くて…そう思われていたんだなって、本当はひとりじゃ何も出来ないのに」


「…その男、ひとりの女のを甘えさせられないなんて器が小さいなあ」


「…ぇ」


「男は好きな女を甘えさせられるくらいじゃないと…俺なら君を甘えさせられるかもね、なーんて」


松村さんは笑って冗談ぽく言った。

私もつられて笑って、ホットミルクをすすった。


「いつでも、おいで 俺の前では本当の君を出していから…ホットミルクいつでも出すよ」


「はい」


ホットミルクの甘い匂いが鼻をかすむ。

居心地のいい空間。


少しだけ心が軽くなった気がした。

独りじゃない。

それだけで少し強くなれた気がした。


仕事が終わると 開店と共にあなたのもとへ行く。強がりの皮を脱いで、本当の私になれる。そんな場所が1つくらいあってもいいよね。


「いらっしゃい」


笑う貴方の顔を見に








『カヨワサ と ヒトリ』 end

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