もう既に目には涙が溜まっていて朔斗の顔をちゃんと見れない。


「…うん。」


「私…きっと、子どもがほしいとこの先思えないかもしれない」


声が震える。


こんな事言いたくなかった。


「…私虐待されてた。」


「…………」


「私のことで喧嘩する親を見てた。子どもがいるためにしなくていい喧嘩をしてふたりの中の愛が冷めていくのを身近で見てた」


愛し合って結婚したのに私の存在が愛を消していく。


「私が生まれたことによってしなくていい苦労もしてた。生まれたことがバツのように重荷になってるんじゃないかってずっとずっと思って生きてた。それがしんどかった」


私の涙を拭いながら聞いてくれる朔斗。


「周りのみんなが結婚して子どもを生む度自分の子どもは可愛いよって言われるけど私はそうは思えなくて。お金の事も考えなくちゃいけない、こんな世の中に自分の生みたいと思う感情だけで生んでいいのか、この子が絶対幸せになる保証はないし何が待ち構えているかわからない。そんな大きな責任私には荷が重いって思って…ずっと」



言葉が詰まる。

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