「ただいま」


玄関の扉を開けて靴を脱ぎリビングに向かう。


するとリビングの方から変な音が聞こえる。


扉を開けキッチンを覗くとそこには地獄絵図が広がっていた。


「あ!おかえり!」


私はぎょっとする。


「おかえりじゃないよ〜朔斗何してるの?」


「何ってご飯作ってる!」


「自信満々に言われても…」


「なんかやっぱり上手くいかないなあ」


「もういいよ、後は私がやるから」


「ごめん」


しょんぼりする朔斗。


「ううん、私を元気づけようとしてくれたんでしょ?」


私は朔斗に近づき朔斗の胸に飛び込む。


すると朔斗は優しくぎゅーっと抱きしめてくれる。


「…朔斗の匂いだ」


「なにそれ」


「ふふ」


朔斗の匂いに包まれてさっきまでのイライラが収まる。


「…大丈夫だった?」


「……うん」


「…そう、よかった」


抱きしめてくれている胸から耳を離し顔を上げる。

そこには朔斗の顔があって、少し背伸びをし

ちゅっと軽いキスをする。


「!?」


すると少し照れくさそうに笑う朔斗。


「なになに?どうしたの」


「なんでもない、さっご飯の準備とここ片付けますか」


そう言って体を離す。


いつか言わなくちゃってずっと思ってたこと。


早く言わなきゃと思う自分もいて

ただただ時間が過ぎて行った。

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