②
死にたかった。
ただもう疲れたから。
毎日のように投げかけられる言葉も想像もつかない事をされる事も。
何かもかも疲れたから。
だから私はそっと学校の屋上の手すりに手をかける。
「死ぬの?」
背後から聞こえたその声に聞き覚えはなくて、私はゆっくり振り向いた。
「…
そこには無表情の柊くんの姿があった。
「死ぬの?」
「…っ、うん」
「そっか、なんで?」
「なんでって、柊くんも知ってるでしょ クラスで私がどんな立場にいるか」
「そうだね」
柊くんは一言そう言って私のすぐ隣で手すりに持たれながら本を開いた。
「……」
「そこから飛び降りても死ねないよ」
「…え?」
「その高さじゃ もう少し高さがいる 死にたいなら…」
「柊くんは止めないの?」
「…止めない」
「………」
「死にたいっていう人間に生きろって言う方が酷でしょ」
「…やっぱり変わってるね」
「そう?」
「…うん、少しだけ」
それが柊くんと初めて話した日だった。
クラスは同じたけど、お互い特に話すことはなくてただのクラスメイトのひとりに過ぎなかった。
あの日から私は休み時間屋上で柊くんと過ごす事が多くなった。
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