ハンターの一族⑦

海偉かい陸玖りくが飛び降りた窓を覗く。

軽やかに飛んで着地し、何事もなかったかのように行ってしまった。


「……」


「ははっ、つばさ驚いてる」


「そりゃ、驚くよ~、二人は人間なのに~」


真理愛まりあがねっと頷いて同意を求めてくる。

つばさも”うん”と頷く。


「…真理愛まりあ


すると、御影みかげが静かに真理愛まりあの名前を呼ぶ。

その瞬間、専用室の空気が変わったような気がした。


「うん」


返事をし、立ち上がった真理愛まりあ御影みかげの後を追って奥の部屋へと入って行った。

それをしゅういおりも静かに見守る。


「つーばさっ」


急にしゅうに声をかけられ身体がビクッと反応する。


「ははっ、ごめん、ごめん。今さらだけど【学園】案内してやろーか?」


予想外の言葉にびっくりした。

【学園】に通い出して教室とこの専用室以外は行ったことがなかった。

ダンピールだし、まだ匂いが残っているから【学園】内を回れないと思っていた。

あの日みたいに襲われるかもしれない。


「…いい、の?」


「あぁ、匂い?俺の上げた香水付けてるでしょ?」


つばさは頷く。


「…もう匂いもだいぶ薄れてる。大丈夫だ」


いおりがぶっきらぼうに言う。

そういうことを言ってくれるなんて思っていなかったから少し驚いた。


「どうする?行く?」


しゅうがもう一度聞いてくれる。

翼は少しワクワクして


「うん!」


と少しいつもより大きい声で返事をした。

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