リデルガ⑤

「わああ~可愛いい!!似合う!!!」


朝【学園】に行く前に真理愛まりあ御影みかげの屋敷に訪れていた。

御影みかげに頼まれつばさの【学園】に行く準備を手伝う為だ。


「…………」


当の本人よりテンション高めに騒ぐのは、ツインテールを揺らして跳ねる真理愛まりあ

つばさは大きな全身鏡の前で【学園】の制服を着た自分を眺めていた。

黒に細い赤のラインの入ったスカートに胸には【学園】の大きな刺繍入りのエンブレム。

【リアゾン】には到底ないようなおしゃれなデザイン。


「やっぱり、”こっち側”の血が入ってるだけあるねえ」


そういって彼女はつばさの後ろから鏡をのぞき込む。


「”こっち”?」


「うん、吸血種の血ってこと。吸血種は昔から美形が多いんだぁ」


「………」   


「人間を惑わす程の容姿で人間たちを狩ってたとか言われてるけどね」


「…惑わす。それ聞いたことある」


「やっぱり?今じゃ有名な話だよね。だからつばさちゃんもとっても綺麗。透き通るような白い肌に大きな瞳そしてサラサラの髪!スタイルも良いし!羨ましい~」


こんな事を言う真理愛まりあだが、彼女の容姿も相当なものだ。

落ち着いた色素の薄い髪にくりくりの二重の目。

僅かにピンク色の頬、本当に女の子ってかんじで守りたくなるような、そんな女の子。


つばさ真理愛まりあの方が羨ましかった。

つばさはいつも、クールとか怖そうとかそういう印象をいつも他人に与える。


「どうどう?着心地は!」


「うん、大丈夫」


「よっかた!じゃあ、外で御影みかげが待ってるし行こうか!」


部屋の扉に向かう真理愛まりあの後ろをカバンを持ってついていく。

その瞬間くるっと真理愛まりあが振り返った。


つばさちゃん、ひとつだけ約束」


少し真剣な表情


「約束?」


「ダンピールだってことは【学園】では内緒ねっ」


「…………」


「絶対に!」


「わかった…」

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