この遊び、なんやねん?
崔 梨遙(再)
1話完結:1300字
小学校の5~6年生、僕等はあらゆる遊びに飽きていた。ということで、またみんなで一緒に新しい遊びを考えた。そこで、僕が言った。
「戦争ごっこ!」
「なんやねん、それ?」
「2組に別れて、戦うねん。ほんで、相手の胸の名札を奪ったら勝ち!」
勿論、冗談だった。だが、みんは言った。
「それ、ええやん」
「それ、おもしろそうやなぁ」
“え? マジ? みんな賛成なん?”
ということで、グーとパーで2組に別れて戦闘態勢。僕は、基本的に隠れた。休憩時間が終わるまで粘ったら勝ちなのだ。だが、見つかる。露骨に校舎の中に逃げ込むのは流石に卑怯だと思い、グランドの周囲で様子を見ていたからだ。そこで、僕を見つけた敵が弱い相手なら戦う。跳び蹴りで倒して素早く胸の名札を奪い取る。だが、強い奴が相手なら、戦わずに自分の名札を差し出す。
みんなで殴り合い蹴り合う、などの暴行? この遊びを始めて、みんな日に日に服がボロボロになっていった。まず名札をつけている胸ポケットから破れていった。親は裁縫で忙しかっただろう。
流石に異変に気付いた担任の先生から事情を聞かれた。
「お前等、最近どないしたんや? 服がボロボロやないか?」
「何も無いですよ」
「また変な遊びしてるんとちゃうやろな?」
「何もしてません」
僕等は誤魔化した。
或る日、同級生の羽田君が僕等のところにやってきた。羽田君は戦争ごっこに呼んでいなかった。除け者にしていたわけではない。羽田君は少し運動神経が悪く、戦争ごっこの仲閒に入れたら怪我をしそうだと思ったから声をかけなかったのだ。だが、羽田君は、
「仲閒に入れてや」
と言って譲らない。
「あのな、羽田君。この遊びは危ない遊びやねん。もしかしたら怪我するかもしれへんから、やめとき」
「嫌や、仲閒に入りたい」
「ちゃうねん、ちゃうねん、仲間はずれにしてるわけとちゃうねんねん、羽田君、怪我したらアカンやろ?」
「みんな、やってるやんか」
「崔君、もう仲閒に入れてあげたら?」
「もうええやんか、羽田君、一緒に戦争ごっこやろうや」
長話をしたくないクラスメイトが羽田君を仲閒に入れた。
戦争ごっこが始まった。なんと、僕は真っ先に羽田君に見つかった。羽田君は敵側だった。羽田君が、鈍い動きで僕に殴りかかってくる。僕は、軽く跳び蹴りした。一撃で倒して名札をむしり取って終わらせようと思ったのだ。だが、羽田君が中途半端に避けようとした。
「あ」
僕の蹴りは、羽田君の顔面にクリーンヒットした。羽田君は倒れた。鼻から血を流しながら。仕方が無いので僕は羽田君を保健室に連れて行った。みんな異変に気付いたので、戦争ごっこを中断して、みんなで保健室に行くことになった。幸いにも、羽田君はたいした怪我はしていなかった。だが、担任から、
「どないしたんや?」
と聞かれて、
「戦争ごっこをしてたら怪我しました」
と、『戦争ごっこ』のことを簡単に話してしまった。僕等は全員放課後の教室に残された。
「言い出しっぺは誰や?」
「僕です!」
僕だけ代表でビンタされた。しかも往復ビンタだった。勿論、戦争ごっこは禁止になった。皆様は、こういう遊びをしたことはありますでしょうか?
この遊び、なんやねん? 崔 梨遙(再) @sairiyousai
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます