第3話



 優しい香りがする。

 どこまでも深く、安寧を思わせる香り。


 すぐに、彼の匂いだと気づいて目を開けると、予想通り目の前に座っていた。


「気分はどう? エフィ」


「……リヴェズ……」


 エフィが何かを言い出す前にリヴェズは大きな花束を押し付ける。

「?」


「良かったね。退院の許可が出たよ」

「……え……?」


 目を瞬かせるエフィにリヴェズは優しく微笑むと、

「あとは近くの先生に引き継ぎをしておくから、時々診てもらえば大丈夫だよ」

 枕元に置いてあったイヤリングを手に取り、彼女の手に握らせる。


「着替えて。少し散歩しよう」



◇◆◇◆◇


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