捨てられていた合羽
天川裕司
捨てられていた合羽
タイトル:捨てられていた合羽
「やっべぇ〜、本降りになってきたなぁ」
ある日、バイクで1人ツーリングしていると、
思いっきり雨が降ってきた。もう土砂降り。
とりあえず道の駅の屋根下で雨宿りしていたが、
本降りだけにもう止みそうにない。
天気予報では曇りのち雨と書いてあったが、
ちょっと甘く見ていた。
「くっそぉ、しゃーねーなぁ、濡れて帰るかあ」
覚悟を決めてバイクに跨ろうとした時、
「ん、あれって…」
施設前のベンチの向こう側に、
雨合羽のようなものが落ちていたのだ。
近づいて見てみるとやっぱり合羽。
「おほ、ラッキ〜〜♪」
とか一瞬思ったが、それは他人の物。
当然、勝手に拾って帰ったら俺は泥棒だ。
でも「捨てられてあるんだから」とまた
勝手な思い込みにより自分を落ち着かせ、
結局、それを拾って着て、
なんとか雨に濡れないように帰ろうとした。
「ごめんなしゃい!」
ブルルン!とエンジンを蒸し、
それからまたスピードを上げてバイクを走らせた。
こっからまだそれなりの距離がある。
まぁそのとき困っていた俺を天が助けてくれたんだ!
なんてまた自分勝手に解釈し、
どんどんどんどん走らせて行く。
そして高速道路を降りようとした時…
「…え?うわあ!!」
心の底からビビッた!
なんと、背中から俺のお腹周りに、
白い2本の腕が伸びていたのだ。
その腕は俺にしっかりつかまり、
まるで後ろに誰かが乗って居るよう…
もちろん誰も乗って居ない。
急いでバイクを停めて降りた俺。
幸い車が走ってなくてよかった。
でも慌てて降りた直後、腕は消え、
後ろに誰も乗ってない事がはっきりわかる。
「ハァハァ…な、なんだったんだ今の…誰…」
動画はこちら(^^♪
https://www.youtube.com/watch?v=vqFDGmLvHIA
捨てられていた合羽 天川裕司 @tenkawayuji
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