第8話

美味しいを連呼して完食した3人は、ぽかんとした後に嬉しそうにニコニコしている大統領らへ恥ずかしそうに述べた。


「美味しかった、です」


「うん。もうわけ分からんくらい」


「凄くて私としたことが語学力を無くしてしまいました」


最後にアルメイが締めくくり、ツートップは嬉しそうにしていた。


「お気に召してもらえて良かった」


「良い食べっぷりで、今後の参考にさせてもらおう」


「き、恐縮です」


色々予定が押しているものの、今後の星と星の友好の証としてこちらはノラえもんセットなど。

ゼクシィは大統領が用意していた友好の意思を書き記した板。

一応大統領に代わりを言伝られていたので握手は私がした。


ノラえもんセットがたくさん欲しいから、今後こちらも売れる品を持ってくると約束した。


食べ物の中にレトルト製品もあったのでにんまりとなる。


こうして、私達は第一回地球訪問を済ませて、ワープ機能によりサクッとゼクシィへと帰還した。




「おかえり。雛鳥達」



出迎えたのは大統領。

親より先に迎えるとか、期待しているその視線がわかりやすい。


いいんですかい大統領。



「あ、大統領!色々言いたいことあるけど、我慢してやっから」


やんちゃなジャニクが一番初めに答える


「んー?なにかあったかな?それより!それよりだよ!」


大統領はさぁっと手をふたつ前に出す。



「私に渡すもの、あるんじゃないのかな?かなあ?」


大統領、相変わらず。


「良い子の大統領、今回の功労者で色々手回ししてくれてありがとうございました。ノラえもんセットです」


箱にドーンとセットを入れたものを大統領の前に置くと彼は暫し固まる。


『えっ』


と、聞こえた。

ちっさく。


ゼクシィ大統領、スゥッと下を見てそこをジーッと見て「え?」と再度か細く呟く。


「あの、大統領に気を遣ってくれなくてもいいよ。君達の分とかもあるみたいだから、全て寄越さなくても、良いんだよ?わたしは大人だからね」


なんとか出した、錆びついた声が今にも無くなりそうなくらい緊張している。


直ぐに3人は首を振る。


「俺達の分と量変わんねーよ。それ、1人一つなんだ」


「私達は既にあります」


「ほら、大統領。私達はこうしてあるから」


3人も大統領の箱と同じ大きさのものを取り出して見せる。


「……」


大統領が喋らなくなっちゃった。


ゼクシィの一番上に座る彼は無言で居たあと、スッと手を箱に入れてノラえもんの人形を手にした。

ぎゅうっと抱き締めて、その圧力にボタンが押されて『良く頑張ったね』とノラえもんが奇跡的なチョイスの台詞を彼へ浴びさせる。


動かなくなった彼に先に帰ってますねと優しく良い、護衛にも挨拶をしてから我が家へそっと移動した。




***




「大統領、まさかのオチ」


ビューンと飛びながら会話。


「俺も同じことされたら一週間元に戻らない」


「大統領は本物のファンですから。予測は出来ました」


「あの人、ノラえもん前にしたら年齢逆行するみたいだから見てて面白い」


リーシャは思い出して笑う。


「まだもう一つメインのお土産がありますよね」


アルメイに言われて頷く。

そう、もう一つのお土産とは食べ物の事だ。


私はもうご飯の時に不味さで泣くことがなくなる!

これ大事!


見えてきた自分の家。

少し離れていただけで懐かしさが込み上げる。


「「「ただいまー!」」」


3人の親達、近所の人達が手を振っていた。


私達も振り、地面へ降りる。


「お帰り皆。疲れたでしょう」


ガヤガヤという皆に笑顔を浮かべた。

いや、企みの笑みを。


「疲れたけど、皆んなには私のハイテンションに付き合ってもらうよ!」


既に開発されていて、寄越されていた四次元のポケットをお腹につけた。


「テーレービー!と、レコーダー!と、アニメーションDVD!」


地球の人に許可を得てもらってきた。

地球大使館にあったものだ。


巨大だが、地面に置くと小さく見える。

アルメイに合図すると彼女がエネルギーの装置を出してテレビの電源を入れる。

既にセットされているので後は再生ボタンを押した。


「なんだ?」


「四角い箱?」


「いきなりだなあ」


皆興味津々に見ていて、やがてノビノビくんが悔しさに叫び主題歌が流れた途端、それをなにか認識した人達が口をぽーんと開けたり、目を丸くして、目が画面に釘付けでいた。

アルメイ達も二度目の鑑賞でテレビに張り付いた。


ノラえもん鑑賞会とテレビの少し上に浮かび上がらせていれば人が直ぐに集まった。


「ノラ、ノラえもん……!」


誰かが発したそれは伝染していき、全員に行き渡る。

一話見終わった所で一時停止させ、周りの人に頭を下げた。


「私達のアニメ布教を温かく見守ってくれてありがとうございました。これが私が皆さんに見せたかったものです」


「こんなもんで終わらないからなっ」


「沢山見せたいものがあるので今後もどうか宜しくお願いします」


少しすると拍手が聞こえた。

アニメは随時私達の動画チャンネルなどで発信していくので待っていて欲しいと告げて、人がパンクする前にテレビを仕舞い込んだ。

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