AtoZ

そーや

プロローグ

灰色の雲が覆った冬の日。

世界の超常現象のバランスを取る組織のエージェントが、レンガで作られた建物に近づいてきた。


街から離れた場所に建っているその二階建ての建物の入り口に警備の2人が立っていた。


身分証を提示して、中に入るとすぐに地下へ繋がる階段が現れる。


その先の鉄扉を開くと一部屋一部屋違う作りの牢獄のような部屋が一直線にならび、各扉にはアルファベット一文字が書かれている。


これが中に入っている者の呼び名となっている。


この施設の通称である『AtoZ』はこれに由来する。


エージェントは並んでいる文字を見ながら目的の部屋へと向かって行く。


ここ『AtoZ』は、特異体質を持つものを収容する施設。


たった1人で世界のバランスを崩してしまう、そんな人物を収容、監視しているのだ。


この施設は世間には公表されておらず、中に収容されている者たちは罪人というわけでもない。

危険すぎる力がゆえに半ば封印のような形を取らざるをえないのだ。


この日までは。


彼らを閉じ込め、上辺だけの安心を信じていたはずであったのだが…


1人、激しい怒りを秘めた収容者が。


その力を発揮してしまうまでは。

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