第二話 ライバルは強敵

第11話

「え!玲蘭ちゃん、realizeのライブ行くんですね!羨ましいです!」





美咲に玲蘭がrealizeのライブに行く話をしたら、こんな反応だった





「realize、ファンだって言ってたね?来れないの?」



「はい!チケット、ソールドアウトですから」



「ソールドアウトなの?すごい、アマチュアバンドなのに、なんでそんな人気なの?」



「かっこいいんですよ!玲蘭ちゃんも、見たらわかりますって!」


「そうなんだ。」


「はい、うちの文化祭で2年間続けて文化祭でライブやったんですけど、他校生が音漏れ聴きに来て騒ぎになるくらいですもん」



「へー。すご。なんでそんな知名度が?」



「元々はうちの近くのライブハウスで対バンやって、それで広まった感じですけど、今は動画配信サイトにも出してるし、青い鳥でも宣伝してるから、結構ファンがいるんですよ」




「へー...」





美咲の話を聞いて、去年のAiles de rêveの体育館ライブを思い出してしまった





あの時の盛り上がりは、自分がかつて感じたことのない高揚感、そしてワクワクで、今の今でも思い出すと心が温まる気がした。





玲蘭には、まだ見たことのないrealizeより、Ailes de rêveのライブのあの高揚感に胸が高鳴るのだ。






「そういえば、玲蘭ちゃんのお兄ちゃんもバンドやってるんですよね」



「そう、Ailes de rêveって言うの。ボーカルは普通科のさりな!今度紹介するね。すごい歌が上手いんだ!声も綺麗で、わたし、さりなの歌が大好きなの」



「わたしも聴いてみたいな。ライブとかする予定はあるんですか?」




「したいとは言ってるけど、まだ具体的には...決まったら誘うね!てか、まだ敬語...」




「はい、いや、う、うん、是非」






そんな会話をしていたらチャイムが鳴り、担任の先生が入ってきた





このホームルームでは学級委員を決めるらしい





「学級委員を男女1人づつ選出しなければならない。誰か、やってくれるかな?」





先生が言うと、みんなしーんと黙ってしまう





「おいおい、誰か居ないのか?」





「首席!首席の朝比奈さんやってよ」





突然誰かに叫ばれ、玲蘭は驚いて振り向いた





「え!私?」




「学級委員っぽいよね」





別の女生徒にも言われて首を振る





「朝比奈、嫌か?」




「嫌ではありませんが...」






玲蘭は高校生になったら良い子ちゃんキャラは卒業したかった





「じゃあ、頼んだ。男子は?」





「寺崎やれよ。おまえ、成績2番だろ」





優吾はため息をついた





「僕は面倒なことはしたくないんだけどな、でも、いいですよ」





「よし、じゃあ、決まりだな」





サラッと決まり、先生も嬉しそうにしている





玲蘭はチラッと優吾を見た

優吾は玲蘭に微笑みかける





玲蘭はそんな優吾に苦笑いを返す





内心、良い子ちゃんキャラは卒業したかったのにぃー!と泣いていた






その次の瞬間、自分を睨む、冷たい視線に気がついた





それは樹の双子の妹、皐月からのものだとすぐに気がついた




皐月は鋭い目つきで玲蘭を睨んでいて、





玲蘭はなぜ睨まれているのかわからず、目を逸らした





優吾は不気味な微笑みを見せながら、席に座っていた





伊織はそれを横目に見て、眉間にシワを寄せていたのだった...

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