第14話 中間テストという名の悪魔
10月に入った。
10月......その月は、誰もが楽しみにしている行事と、そうでない行事がある。その「そうでない行事」とは━━━━━
「よぉぉし! お前ら、今日からテスト2週間前だからな、ちゃんと勉強しろよ!」
そう、学生が最も苦手とする行事のひとつ「中間テスト」だ。
「どうするよ? 海斗」
面倒くさそうに座っている龍希が俺に聞く。
おそらく、木滝さんの練習のことを言っているのだろう。
テストでは、30点以下、英語は平均点の半分以下だと追試があるらしい。しかも、その追試は意外と難しく、合格点は平均点なため少し時間が必要になるらしい。
ちなみに、この情報源は頭がよく、クラスでの人気もかなり高い、木滝さんという人からだ。
いや意外すぎんだろそんなん。
「俺たちはノー勉でも、まぁ70位程は行けるけど、木滝さんだよなぁ......」
「そゆこと、木滝がいなきゃ練習も何も出来ないからな」
「まぁ、とりあえず本人に聞けば━━━━━」
そう言いかけていると、こちらに木滝さんと間宮さんが向かってきている。
「ねぇ、真波くん、八葉矢くんお願いがあるんだけど......」
□
「は!? 雪が赤点常連!!!?」
「ちょっ!? 静かにして!!!」
私、木滝雪が優香ちゃんにテストの相談をしていると、本気で驚かれた。
まぁ、仕方ないのかもしれないけど......
「とにかく! どうしよう、また赤点取っちゃったら練習も何も出来ないよぉ」
「......雪って、スタイルいいよね?」
「え? どうしたの? 急に」
「どうせほとんどのせんせーおじさまだし、その体で媚び売っちゃえば?」
「真剣に考えて!?」
さすがにそんな邪の邪の邪のような道は進みたくない。てか、進んだら人生即終了だよ!
「うーん......じゃあさ、私と一緒にあの男性陣に勉強教えてって言ってみない?」
箸で人のこと差すって、色々やばい気が......そう思いながら、優香ちゃんが箸で差す方を見る。
その先には、真波くんと八葉矢くんがいた。
あっちはあっちで何か話しているけど、何も聞こえない。
「あの2人、勉強出来るかわからんけどせっかくいい機会なんだし」
いい機会......多分、優香ちゃんは八葉矢くんと、私は真波くんともっと距離を縮めることが出来るかもしれない、そう言ってるんだと思う。
「......もし、勉強出来ないって言ったら?」
「他の人巻き込めばいいんだよ! ほら! 行くぞ行くぞぉ!!!」
□
「━━━━だから、その......勉強を......教えて欲しいというかなんと言いますか......」
勉強出来ないから勉強を教えて欲しい、そう言われたら答えはそりゃまぁ━━━━
「間宮もやるんだろ? 別に、教えるの上手いかどうかわかんねぇからな?」
龍希もどうやら同じ考えらしい。
......なんか間宮さんの顔がニヤけを通り越して失神しそうな顔になってるような......?
その時間で、色々話し合い、俺たち4人は今日から勉強を始めることになった。
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