第9話

でも、そんな勇気は私にはないし。


そもそも、彼が本当に柏樹先輩かもわからないから。


私は、まだ彼の顔を見れないでいる。



私は、彼の顔を見ないまま庭へと案内する。


庭に出ると彼は、やっと喋った。



「琴葉さん。お見合いって苦手なんですか?」


そう聞かれた。私は、


「はい」    と答える。



「そうなんですか‥‥‥‥‥」


悲しそうな声,,,,,。そう思った。


私は、思わず彼の顔を見たするとそこには”先輩”がいた。


正確には、多分違うと思う。


けれど、勘違いするほど瓜二つだった。


ああ、だめだ。


胸が苦しい。


気持ちを抑えきれなくなった私は、彼に抱きついてしまった。



「えっ!どっ////どうしたんですか!きゅっ///急に抱きついてきて//////」



彼は、あからさまに照れている。


私はやばいと思い、とっさに言い訳をする。



「いえ。その、あまりにも悲しそうな顔をあなたがするので少しでも元気になればと‥‥‥‥‥」


ああ、私はなんてことを言ってるんだか。


急に恥ずかしくなる。


赤くなっているだろう顔を私は、あからさまに隠す。


すると彼が、



「すみません。心配させてしまって,,,,」


と、誤ってきた。


そうじゃないの。私は、あなたと柏樹先輩を重ねていただけなの

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る