忘れられた記憶

第五章 苦しみ

エリカが次に目を覚ましたとき、彼女は再び夢の中にいた。しかし、今回は前とは違っていた。彼女の周りには薄暗い森が広がり、どこからかリサの声が聞こえてきた。

「エリカ、ここで永遠に私と共に過ごすのよ。」

エリカは立ち上がり、声のする方向に向かって歩き出した。彼女の心には恐怖と絶望が渦巻いていたが、それでもリサのもとに向かうしかなかった。

森の奥深くに進むと、そこには古びた小屋があった。エリカはドアを開けると、そこにはリサが立っていた。彼女の顔には冷たい笑みが浮かんでいた。

「ここがあなたの新しい家よ、エリカ。」

エリカはリサの言葉に怯えながらも、冷静さを保とうと努めた。「リサ、これが本当にあなたの望みなの？私たちが永遠に苦しみ続けることが。」

リサの顔が一瞬険しくなったが、すぐに元の冷たい表情に戻った。「私には他の選択肢がないの。あなたが私を殺したその瞬間から、私の魂は永遠に彷徨うことになったのだから。」

「あなたの言葉は信用できない。でも、もし本当にそう思っているなら、ここで永遠に私と共に過ごすがいい。」

エリカは頷き、リサの手を取り、一緒に小屋の中に入った。彼女の心には未だに恐怖があった。エリカは生きた心地がしない。

小屋の中は冷たく暗かった。古びた家具や埃まみれの床が、時間が止まったかのように静寂を保っていた。リサはエリカを見つめ、その目には決意と何か得体の知れない感情が宿っていた。

「ここで、私たちは永遠に共に過ごすのよ、エリカ。」リサの声には冷たさと同時に、微かに揺れる哀しみが混じっていた。

エリカは小さく頷き、リサの言葉を心に刻んだ。彼女はこれから続く苦しみを覚悟しながら

も、リサの中に僅かに残る人間らしさに望みを託した。エリカは不思議そうな目で周りを見渡している。

「見たことがあるような…」エリカは呟いた。

時間が経つにつれ、エリカはリサとの生活に慣れていった。しかし、リサの態度は一向に変わらなかった。冷たい視線と無言の圧力がエリカを追い詰め、彼女の心を蝕んでいった。

ある夜、エリカはリサのいない隙を見て、小屋の外に出た。森の中は暗闇に包まれ、不気味な静寂が広がっていた。彼女はその場に立ち尽くし、空を見上げた。星も月も見えない夜空は、まるで彼女の未来を暗示しているかのようだった。

「どうして、リサ……」

エリカの呟きは誰にも届かない。しかし、その瞬間、彼女は何かを感じた。背後から冷たい視線が彼女を捉えていた。振り返ると、そこにはリサが立っていた。彼女の目には再び狂気が宿り、その手にはナイフが握られていた。

「逃げられると思ったの？」

リサの声には冷たい嘲笑が込められていた。エリカは恐怖に身を震わせながら、一歩後ずさりした。しかし、足元の枝に躓いて倒れ込み、動けなくなった。

リサはゆっくりとエリカに近づき、ナイフを振り上げた。その瞬間、エリカはリサの目に一瞬の迷いを見た。しかし、次の瞬間、冷たい刃が彼女の胸に突き刺さった。

「これは終わらない。永遠に続く苦しみの始まりよ。」

エリカの意識が薄れていく中で、リサの冷たい笑みが最後に見えた光景となった。闇に包まれる瞬間、エリカは心の奥底で何かが崩れ落ちる音を聞いた。

なんだろう…なんだこの感覚は…