第20話 寝取りは加害者? 寝取られは被害者?
敗北感ではない。むしろポジティブな感情。達成感に近いのではないだろうか。綾乃がもう以前の綾乃ではなくなってしまったような、そんな変化を見せた。もちろん穏やかで優しい人当たりや美しく
風呂場からゴン、ゴンという音や綾乃の笑い声が聞こえてくる。
ダイニングテーブルに残された形の一樹。食事も酒も進まないのは胸がいっぱいだからだ。
思えば酷い一日だった。
とにかく綾乃が欲しい。
愛して愛して愛し倒したい。
◆
察したかのように亮介が風呂から帰ってきた。
「綾乃さんが呼んでる。一緒に入ろう、って」
無言で
◆
亮介が髪を乾かし終えてテーブルの上の片付けをしていると風呂から上がった二人に見つかる。
「あ、もうそんなのいいからいいから」
「亮介くんごめんね、お客さんにそんなことさせてしまって」
「大丈夫、簡単にしかしてないから。あ、乾き物ぐらいはそのまま出しておこうか」
「そうだね。ビール出そうか?」
「あ、いや俺はもう帰るよ」
普段の3人の会話に戻ったのも束の間だった。
「だめ。まだいて欲しいんだ」
「いや……でも、そろそろ二人の時間でしょ?」
「うん。それはそうなんだが、二人の時間を見てもらいたいんだよ、お前に」
誤解を恐れず表現すると、寝取りは加害者、寝取られは被害者ということになるだろうか。一樹はここから加害者の役になりたいという。
「俺は寝取られ趣味じゃないのになぁ」
わざと棒読みで亮介が言う。綾乃が微笑む。
「よし、決まりだね!」
一樹がいつもの調子に戻ったように見えた。
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