グレソ バカ一代

おおやましのぶん。

第1話 

 まもなく自分たちが転送される順番がくる。

 

 椅子の一つも置いていない殺風景な部屋の中でグレソは仲間のノウキンとケンジャと共に自分たちが呼ばれるのを待っていた。

 

月明かりが窓の外から差し、神秘的な雰囲気を醸し出していた。

 

三人は軍事学校出身のエリート部隊だ。これから戦場に転送されようとしている。


「この魔法陣、本当に大丈夫かな?」ケンジャは不安そうに言った。


彼の目は魔法陣の不気味な模様を見つめている。


「大丈夫だろ!国のお偉いさん御用達の魔術師が準備してくれた魔法陣だぞ!勇者はいつだって行くぞ!」ノウキンは剣を腰に当て、大きく笑いながら言った。


グレソは彼らの後ろで微笑みを浮かべながらも、心の中で不安が膨らんでいた。


「じゃあ、行こう!皆で一緒に!」グレソは不安をかき消すつもり声を張り上げ、左手でノウキンの右手を、右手でケンジャの左手を握りしめた。


「おい、よせよ気持ち悪いな、男同士で」ケンジャはグレソの手を振りほどいた。


それを見たノウキンはケンジャの右手を掴もうとした左手を引っ込めた。


 その時、怒号が聞こえてきた。隣の部屋からだ。



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