『時の扉』

弾丸妄想時空トラベラー クルクリ

序章

「…生きてますね。」


「じゃの。」


暗闇の中、誰かの声が聞こえる…。


「こんな珍客はいつぶりかのぉ。ふふ。」


「笑い事ではございませんよ、エレシュキガル様。こんなおっきな穴を開けて落っこちてくるなんて!とにかく。得体の知れない生身の人間をこのままにしておく訳にはいきません。早急に処分しなくては。あぁ、ばっちぃばっちぃ。」


「ナムタル。この娘は特別じゃ。わしが何もしなかったと思うか?」


「…まさか!眼を使われたのですか?」


「瞬時にな。」


「それでも生きていると?」


「うむ。興味が沸いたであろ〜?」


「またそんないたずらっ子みたいな顔して。でも、そうですね。そうと聞けば興味…沸きますねぇ。」


「ふふ。いずれにしても、穴については笑い事ではないからの。これは私が塞いでおこう。娘が目を覚ましたら連れて参れ。聞きたいことが山ほどある。」


「ご命令とあらば致し方ありませんね。あぁ、もぅ、ばっちぃばっちぃ。」


直後、ふわりと体が浮くのを感じた。もがこうとするが、もはや自分の体が付いているのかさえ分からないほど、どこにも力が入らない。


待ってよ待って。ここはどこ?あんたたち誰?何がどうなってるの?


考えなきゃいけないことがたくさんあるのに、頭がちゃんと回らない。

ふわふわと体が心地よく揺れて、また意識が遠のいていった。

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