第38話

「いえ、本当のことなんです。まだまだ足りないぐらいです」



そう笑っていると



「颯のこと、私たちからたくさんの愛をもらったって言ってたけど、百合ちゃんも同じだと思うわ」



「えっ‥?」



「たくさんの愛を与えてもらってるっていうのが分かるのはその経験があるからよ。感謝の気持ちまで湧くのは沢山の“ありがとう”を百合ちゃんのご両親が教えてくれたからじゃないかしら」




「私‥実は、」




なんだか目が熱くなってきていた。




「聞いたわ。幼い頃に両親を亡くしたって。だから尚更なのね‥。他の人よりご両親と過ごす時間が短かったはずなのに、それを百合ちゃんが知ってるのは他の家庭以上にご両親が百合ちゃんを愛してた証拠よ」



そんな風に考えたことなんてなかった。



むしろ、両親のことなんて悲しくなるだけで思い出したくなんてなかった。



でも‥

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