第162話

(颯side)



「いつから知ってたんだ?」



幹部部屋に戻れば顔も向けずそう聞く透。



「今さっきだ。百合を見た医者に会った」



「百合さんなら1か月前の一度きりしか診てませんよ。不妊の件も浅見さんと相談するとおっしゃってましたが…。正直妊娠は望めない可能性が高いので百合さんの様子が私も気になってた所です」



医者に出くわした時言われた言葉。



不妊…?



子どもができない…



今頃その事実が頭を金槌で殴られたかのようにガンガンと響き始めた。百合はこんな大切なこと1か月以上も一人で抱えてた。



言いたくてたまらなかっただろう。



でもそれを許さなかったのは間違いなく俺らだった。

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