第143話

「妊娠は確認できませんでした。そして…」




受付で問診票を書いたとき、気になることに丸をつける欄。その文字を見たときから胸騒ぎがしてた。




どうか違いますように…



丸をつけた不妊検査の欄。



必死で願った。



それでも、目の前のとても穏やかで優しそうなおじいちゃん先生が発したのは、私の願いも虚しく



「検査の結果は不妊です。不妊治療に切り替えないと妊娠は難しいです」



「えっ…」



どこかで分かっていた。



このお腹の中は空っぽで、私と颯のカケラは来ないということを。

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