第140話

(百合side)



「帰れない…帰りたくない」



「クックックッ…」



大きな真っ赤なソファー。起き上がり座り直せばよく笑うその男。



「今度は帰りたくないか。本当に面白れぇなお前」



未だ倒れる私の腕を掴み軽々抱き起こし、ひとしきり笑えばフゥーっと息をついた。そして私を射貫くように見つめるその瞳。



「話なら聞くぞ。お前らの番犬どもは知らねぇんだろ?」




何もかも見透かすような瞳は嫌でも颯を感じてしまう。



一度本音を出してしまった私の口は、自分の意思とは反対に、ポロポロと言葉は落ちていった。

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