第94話

それでも、百合ちゃんはしっかり俺らの大好きな笑顔に戻って、確実に俺らの中には暖かいものが流れていた。空気?というか目に見えない…絆?っていうのかな!



考えるだけでにやける…



いやいや、ふざけてる訳ではなく、これも全部きらきら笑う百合ちゃんのおかげなんだろうな。颯が百合ちゃんの本音を引き出して、百合ちゃんがみんなの本音を引き出し結びつきをさらに強くしてくれた。



あー、やっぱり大変なことを乗り越えると幸せが待ってるんだな…。



しみじみそんなことを思いコーヒーを飲んでいれば、やっぱり声をかけてくるのはあいつ。



「透さんどうかしたんですか?」



今日も笑顔でキッチンに立つ直樹だ。



「んーん。何でもないよ。あ、颯そろそろだよ。本家行かないと」



腕時計を見ればここを出る時間が来ていた。俺の目の前、自分の肩に百合ちゃんをもたれさせ、ご機嫌でコーヒーを飲んでいた颯に声をかければ返ってきた盛大な舌打ち。

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