第76話

そして致命的となった直樹の言葉。


“百合さんらしくない”


もう百合ちゃんの心が耐えきれなくなったんだ。どんどん外に傾いていく体。40階、こんなとこから落ちたら間違いなく…。



ヤバい…。頭では分かってるのに俺の体は全く動かなかった。見ていることしか出来ない俺。でも、あいつは違った。



「百合、大丈夫だ。怯えるな。

何も、怖がらなくていい」



一歩また近づけば



「こないで…こないでっ!!殺しちゃう…」



心臓が張り裂けそうなくらい苦しい声。



ナイフが完全に颯の方に向いた。いつ刺しても、それかいつ飛び降りてもおかしくなかった。



もうだめだ…



その時だった。

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