第70話

「裏でやっぱり動いてるね」



「あぁ」



ご丁寧にまだ俺らも知らない犯人。



いわゆる、百合ちゃんの両親にわざとぶつかっていった運転手の顔写真までついていて。ここまでするのはどこかの組で間違いなさそうだ。



上昇するエレベーターの階数を見上げる俺達。それしか出来ないのが歯がゆかった。



隣のエレベーターが止まっていたのはリビング階。既に押されていたその階に到着すれば…



「直樹!」



薄暗い部屋、一人たたずむ直樹だった。



「百合はどうした」



ずんずん進んで行くとすぐさま直樹の首元を掴み地獄のような低い声でそう問う颯。



「ウッ、…グッ…」



簡単に、徐々に床から足が離れる直樹が苦しそうに顔を歪めていた。

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