第34話
百合ちゃんの髪の毛に手を通しながら首元に甘えるように顔を埋める颯がいた。
百合ちゃんに怒られても聞こえていないかのように続ける颯。
「気にしなくていいからな」
絶対無理だろうがすでに顔面真っ赤な隣の直樹にも声をかけておいた。
繁華街の近くで車を止め全員降りれば、夜よりかは人が少ない。それでも…
「集まるのも時間の問題だな」
「はい」
秋にボソッと呟けば同じように警戒する秋。店までは全員で歩くことになる。百合ちゃんの腰に手を回し歩く颯、その左右を俺と秋、後ろを直樹で囲み歩いた。
いつも2人が並ぶところは見慣れてる。というか毎日見てる。それでもやっぱり外の世界に出てくれば、二人並び歩くところは目が離せない、そこだけが異次元のようだった。
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