第10話
「ゆっくり休めよ」
百合の身支度を整え、目にかかった前髪を指で流せば出て来たおでこにキスを落とし、俺は部屋から出た。
ガキか…
ちっこくて騒がしいから好きじゃなかった。むしろ嫌いで。なのに百合とのかけらだと思うとこんなにも待ちわびるものなのか…
「フッ…」
直樹のことなんかもう俺の頭からは消えていて。そして自分でも分かるほど、無意識に顔は綻んでいた。
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