第3話 声に出してるか否か
夕方六時。
愚痴を話した事で多少スッキリとした状態で、やっとやるべき事に手をつけ始めた。
いーくん「僕ってさぁ?翠ちゃんの脳内存在な訳じゃん?」
またも作業を邪魔するかのように、心友が話しかけてくる。
私「そうだよ。私がいなかったら存在出来ない、いわば寄生虫だね。私、今結構大事な作業してるから出て来ないでくれる?」
いーくん「うん……。まぁ取り敢えず……寄生虫呼ばわりに関しましては、翠ちゃんを支えてる自負がある僕としては全力で否定させてもらうけど……」
私「私今忙しいって言ったよね?全無視じゃん……」
いーくん「とか言いながら、翠ちゃんは聴いてくれるでしょ?というか、翠ちゃんが本当は話したいから僕が出て来たんだよね?さっきから手ぇ止まってるし」
私はどうも、あまり好きでない作業をしている時には心友を呼んでしまうらしい。
私「……言いたい事あるなら言ったら?休憩ついでに聴いてあげるから」
いーくん「ちょっと思ったんだけどさ、僕って君以外からは見えてない、いわば存在しない存在でしょ?そんな僕に向かって話してて大丈夫?完全な異常者じゃない?」
私「私、いーくんに話しかける時には基本的に声に出してないから大丈夫。同居人がいるのに、声に出すわけにも行かないからねぇ……」
いーくん「じゃあ、なんで
私「ん〜……演出として分かりやすいからかな?今度、友達と話しながらいーくんと会話してる時の事を書く事があったら、その時は普通のかっこを使って表現するよ」
いーくん「……翠ちゃんって、片付けが死ぬほど苦手な不器用さんだけどさ……」
私「あ?喧嘩か?脳内存在のお前が私に勝てると思うな?」
いーくん「違う違う!!友達と話しながら脳内で僕と会話するとか、割と器用な事をするよなって思っただけだよ!!」
私「……大事な話をしてる時は流石に出来ないけどね。あとは滅茶苦茶楽しかったりとか。でも、基本誰かと話してる事が少ないし」
いーくん「……ごめん。そういえば、翠ちゃんボッチだったわ」
私「よし、今日こそお前が消滅する日だ」
《数分後》
同居人「やけに疲れてどうしたの?」
私「……別に。自分の考えがダイレクトに伝わる相手って厄介なんだなっていう事実に打ちのめされてるだけ」
同居人「そ、そうなんだ……」
私「そうなんだよ……だから気にしないで」
同居人「うん。まぁ、あっちでゲームしてるからさ、なんかあったら言ってな」
私「ありがと」
尚、作業はほとんど終わらなかったよ。
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